1. 戸明けの戸たて ( とあけのとたて )
一番始めに来て、帰るときもまた一番しまいになる人のこと。
つまり、始めから終わりまでいる人のことをいう。
2. 問い声よければいらえ声よい ( といこえよければいらえごえよい )
自分の方の出方で、相手の方の態度も変わるということ。
3. 戸板に豆 ( といたにまめ )
4. 問屋の只今 ( といやのただいま )
商人の口ぐせをいい、返事はよいが実行が伴わないことのたとえ。
5. 当意即妙 ( とういそくみょう )
その場によくかなった気の利かし方。即座の早知恵。
6. 頭角を見す ( とうかくをあらわす )
才能や技能が目立って人よりもすぐれていること。「頭角」は頭の先、多くの中で、頭がひときわ高く抜き出ている、という意味。
7. 灯火親しむべし ( とうかしたしむべし )
読書に適したよい時節。秋の夜は、さわやかで灯火の下で読書がよくできる。
【参考】 「灯下」と書くのは誤り。
8. 東家に食し西家に宿す ( とうかにしょくしせいかにやどす )
二つのよいことを一時に求めようとするたとえ。
昔ある女に、東家の男は富んでいるがみにくく、西家の男は貧しいが美しい、どちらに嫁するかとたずねたところ、
東の家で食事をし西の家に泊まりたいといったという。
9. 東家の丘 ( とうかのきゅう )
孔子の隣に住む者が、孔子の聖人であることを知らず、東隣の丘として知っていただけだという故事による。
その人の真価を知らない近所の者が軽べつすること。
10. 堂が歪んで経が読めぬ ( どうがゆがんできょうがよめぬ )
他のことにかこつけて、自分の怠慢や落度の言いわけをすること。
またもったいぶって、理屈ばかり多く、仕事が進まないことのたとえ。
ナマグサ坊主が自分のおつとめをしないでお寺の屋根が傾いていてあぶなくてお経など唱えておられない、という故事による。
11. 同気相求む ( どうきあいもとむ )
気の合った仲間は寄り集まる。同じ気持ちの者は求め合うものである、という意味。
12. 道具だてする者は仕事がにぶい
( どうぐだてするものはしごとがにぶい )
道具ばかりそろえている人は、たいした腕のない人である。
13. 桃源 ( とうげん )
俗世間を離れた別天地。理想郷。
晋の太元年中、武陵(ぶりょう)の人が川をさかのぼって水源の桃林に迷い込むと、秦の乱を避けた人々が、
世の変遷を知らず、平和に静かに暮らしていたということから。
【参考】 「武陵桃源」ともいう。
14. 同工異曲 ( どうこういきょく )
違っているようであるが大体は同じなこと。音楽のうまいことは同じでも、
その演奏する曲調は異なるということから、詩文などの手際は同じでも、表現の仕方によって趣が違う、という意味。
15. 陶朱猗頓 ( とうしゅいとん )
大金持ち。富豪。陶朱公と猗頓とは、昔の有名な財産家であった。
16. 銅臭 ( どうしゅう )
金銭で官位を得た者をそしる語。
財貨で官位を得た者は、銅貨の臭気がただよっている、という意味。
17. 同舟相救う ( どうしゅうあいすくう )
境遇の同じ者が、互いに助け合うこと。見ず知らずの者でも、同じ舟に乗り合わせて危難に遭えば互いに助け合う、という意味。
【参考】 呉越同舟
18. 同床異夢 ( どうしょういむ )
いっしょに仕事をしていながら、あるいは同じ環境や条件にありながら、考えが違うたとえ。
一つの寝床に寝ながら別々の夢を見ているという意。
19. 同日の論にあらず ( どうじつのろんにあらず )
全く違っていて比べものにならない。身分とか程度が違い過ぎて、同じ日に論じることが出来ない、という意味。
20. 燈心で須弥山を引き寄せる ( とうしんでしゅみせんをひきよせる )
できもしないこと。力の及ばないこと。また、だいそれたことにもいう。
21. 燈心で竹の根を掘る ( とうしんでたけのねをほる )
柔らかくてもろい燈心で堅い竹の根を掘るように、一生懸命につとめても、事がなしとげられないことのたとえ。
22. 冬至冬中冬はじめ ( とうじふゆなかふゆはじめ )
冬至は暦の上では冬の最中であるが、実際は、冬の寒さはこれからである、という意味。
23. 唐人の寝言 ( とうじんのねごと )
ただでさえわからない中国語が、寝言ではなおわからないということから、
何を言っているのか訳のわからない言葉。筋の通らないことをくどくど言うこと。
24. 灯台下暗し ( とうだいもとくらし )
「灯台」は航路標識ではなく、油ざらに灯心を入れて火をともす昔の燭台で、燭台のすぐ下は暗いことから、
手近なことはかえってわからず、気が付かないでいる、という意味。
【参考】 The darkest place is under the candlestick.
【例】 「こんな近くにこんな良いところがあったなんて、灯台下暗しだ」
25. 道聴塗説 ( どうちょうとせつ )
いい加減な受け売りの話。「塗」は「途」と同じ。道で聞いた話を、すぐに途中でまた人に話すこと。
26. 十で神童十五で才子二十過ぎれば並の人
( とうでしんどうじゅうごでさいしはたちすぎればただのひと )
十歳の時神童と言われた人が、十五歳になると才子程度となり、二十歳を過ぎると平凡な人になってしまう。
小さい時は教え込めば何でも覚えるが、それは真の才能ではなく、ただ人より先に覚えたというだけのことで、
ほかの人もだんだん追い付いてくるから、結局は普通の人と同じになってしまう、という意味。
27. 尊い寺は門から ( とうといてらはもんから )
尊い寺は門を入っただけでわかる。徳の高い人はその顔にまで賢さが表われている。
【類句】 はやる稲荷は鳥居から知れる
28. 東道の主 ( とうどうのしゅ )
道案内者。主人となって来客を案内し世話する人。
春秋時代に鄭(てい)の国が、秦(しん)と晋(しん)との両国に包囲されて滅びそうになった時、鄭の燭之武(しょくしぶ)が秦伯(しんぱく)に会い、
鄭をこのまま残しておき、殿様が東にお出かけの時、道案内役になされたらいかがですか、といった故事に基づく。
29. 問うに落ちず語るに落ちる ( とうにおちずかたるにおちる )
問われてもなかなか本当のことを言わなかった人が、おしゃべりをしているうちについ本当のことを言ってしまうこと。
【参考】 「語るに落ちる」と略することもある。
【例】 「あれほど言わなかった彼女のことを言うとは、語るに落ちたね」
30. 盗に食を齎す ( とうにしょくをもたらす )
敵に勢いを増させるような愚かなことをするたとえ。盗人に食物を持って行ってやること。
【参考】 寇に兵を藉し盗に糧を齎す
31. 堂に入る ( どうにいる )
学問や技芸などが非常にすぐれている。申し分がない。
【参考】 堂に升りて室に入らず
32. 堂に升りて室に入らず ( どうにのぼりてしつにいらず )
学問・芸術などが、相当高い水準には達しているが、まだ深い境地には達していない。
「堂」は客間、、「室」は奥の間。