27. 物いえば唇寒し秋の風 ( ものいえばくちびるさむしあきのかぜ )
不用意に余計なことを言うと、人の恨みを買って災いを招く。
人の欠点をあげあつらったあとは、何となく自分が不快な気分になり、
対人関係も気まずくなるものである、という意味。
【参考】 松尾芭蕉の句。
28. 物言わずの早細工 ( ものいわずのはやざいく )
あまりしゃべらず、目立たぬ者が、仕事をさせると、早くて上手だということ。
29. 物がなければ影ささず ( ものがなければかげささず )
原因がなければ結果はないことのたとえ。
30. 物盛んなれば則ち衰う ( ものさかんなればすなわちおとろう )
盛んなものは、いつかは衰えるのが自然の道理であり、世の常である。
【参考】 「盛者必衰」と同じ。
31. 物種は盗まれず ( ものだねはぬすまれず )
遺伝はかくそうとしてもかくせないものだということ。
父親のわからない子を生んでも子供を見ればすぐ相手がわかるということ。
32. 物には七十五度 ( ものにはしちじゅうごたび )
物には限度があるということ。
33. 物は言いなし事は聞きなし ( ものはいいなしことはききなし )
物事はいい方次第、また聞き方次第でよくも悪くもなるものである。
34. 物はいいよう ( ものはいいよう )
同じ事柄でも、言い方によってまるで受ける印象が違ってくるものだということ。
【例】 「普通に言ってもダメだが、物は言いようで、丁寧に言うと通じるぞ」
35. 物は祝いから ( ものはいわいから )
縁起が悪いとされていることでも、縁起がよいようにいいなおして、祝いなおせばめでたくもなるということ。
36. 物は考えよう ( ものはかんがえよう )
物事は考え方一つで、どうにでも見ることができる。世の中の幸不幸も考え方しだい。
最悪の場合を思えばあきらめがつくし、立場が違えば別の印象を受ける。
一つの解釈にとらわれて苦しむことはない、という意味。
【例】 「学校まで距離があるが、物は考えようで、それだけ運動になると思えばどうってことない」
37. 物は相談 ( ものはそうだん )
自分一人では解決できないことでも、だれかに相談してみれば、よい結果が生まれるかも知れないのだから、
相談してみることが大切だという意で、相手に相談を持ちかける時に用いる言葉。
【例】 「物は相談だが、私にも攻略法を教えてくれないか」
38. 物はためし ( ものはためし )
実際にやってみなければその結果は分からないのだから、あれこれ迷っているよりは試しにやってみるべきだということ。
【例】 「まだ完璧ではないが、物はためし、明日試してみるか」
39. 物ははずみ ( ものははずみ )
物事は、その時のはずみや成り行きによって、思いがけない方向に進むものだということ。
40. 物は八分目 ( ものははちぶめ )
ものごとは完全であるより、少しぐらいは足りないほうがよいということ。
41. 物も言いようで角が立つ ( ものもいいようでかどがたつ )
同じことでも話し方によって、相手に不快に聞こえて感情を害する、という意味。
【参考】 「丸い卵も切りようで四角、物も言いようで角が立つ」という。
42. 桃栗三年柿八年 ( ももくりさんねんかきはちねん )
桃と栗は芽が出てから三年、柿は八年たてば実を結ぶ。
43. 股を刺して書を読む ( ももをさしてしょをよむ )
一心に勉学すること。眠くなると、錐で股を刺し、痛さで眠気を覚ましながら読書に励んだ、蘇秦の故事。
44. 貰い物に苦情 ( もらいものにくじょう )
人から貰った物に対して苦情をいうこと。
まことに勝手などん欲のたとえをいう。
45. 貰った物は根がつづかぬ ( もらったものはねがつづかぬ )
貰い物は長続きがしないということ。
46. 門外漢 ( もんがいかん )
直接それに関係のない人。専門以外の人。
【参考】 「漢」は、男の意味。
【例】 「私はセールス担当なので、車の整備は門外漢だ」
47. 文殊も知恵のこぼれ ( もんじゅもちえのこぼれ )
どんなにえらい人でも、失策があるということのたとえ。
48. 門前市の如し ( もんぜんいちのごとし )
訪問客が多い形容。門の前に人だかりがして、市のようなにぎわい、という意味。
49. 門前雀羅を張る ( もんぜんじゃくらをはる )
「雀羅」は雀をとる網のことで、退官すると訪問客がなくなって門の外には雀が群がり、網を張って雀を捕らえることができる、
ということから、訪れる人がなくさびれている形容。権勢が衰えて訪ねる人もない形容のこと。
【例】 「ブームのときにはすごい人だかりだったが、下火になると門前雀羅を張るありさまであった」
50. 門前の小僧習わぬ経を読む
( もんぜんのこぞうならわぬきょうをよむ )
寺の門前に住む小僧は、ひとりでに聞き覚えてお経を読む。
ふだん見たり聞いたりしていると、習わなくても、知らず知らずのうちにそれを覚えるものである、という意味。
【類句】 勧学院の雀は蒙求を囀る
51. 門に入らば笠を脱げ ( もんにはいらばかさをぬげ )
人の家に行ったら笠を脱げということ。
また人は住むところの風俗習慣に従うのが、処世の法だということ。