1. 盲亀の浮木 ( もうきのふぼく )
出会うことがきわめて容易でないたとえ。また、めったにない幸運にめぐりあうたとえ。
大海原に住み百年に一度だけ水面に浮かび出るという盲目の亀が、海上を漂う一本の穴のあいている木に出会い、
その穴にはいるという話。「盲亀の浮木、優曇華の花」と続ける。
2. 儲けぬ前の胸算用 ( もうけぬまえのむなざんよう )
まだ儲けないうちから、儲けた気になってあれこれと計画をたてることで、
不確実な事柄に期待をかけ、それをもとにしていろいろ企てることのたとえ。
【類句】 捕らぬ狸の皮算用
3. 儲け物だ ( もうけものだ )
全く期待していなかったのに、いい結果となり得をしたと思う様子。
【例】 「勉強を全くしなかったのに、試験に合格できたのは儲け物だった」
4. 申し分が無い ( もうしぶんがない )
これといって非難すべき点がなく、十分満足できる様子。
【例】 「今度の作品は思い通りに完成し、申し分のない出来だ」
5. 申し訳ばかり ( もうしわけばかり )
形だけ一応整えたという程度にしか何かをしない様子。
【例】 「新しく家を建てたが、申し訳ばかりの設備しかない」
6. 蒙塵 ( もうじん )
天子が難を避けて、都からよそへ逃げ出すこと。
天子が外出する時には、あらかじめ道を清めてから行くのであるが、急に逃げ出す時には塵を蒙る(かぶる)のでいう。
7. 盲点を衝く ( もうてんをつく )
当人が気付かずにいる点を攻撃する。また、その点を悪用する。
【例】 「そんな手で来るなんて、盲点を衝かれたよ」
8. 孟母三遷の教え ( もうぼさんせんのおしえ )
子供の教育によい環境を選ぶこと。孟子の母は、初め墓地の近くに住んだが、孟子が葬式の真似をして遊ぶので、
市場の近くに引っ越した。すると、商売の真似をして遊ぶので、学校のそばに引っ越した。
孟子は礼儀作法など学習の真似事をするので、母は初めて安心して住居を定めたという故事。
【参考】 「三」は、三回ではなく、たびたびの意。「孟母三遷」「三遷の教え」ともいう。
【類句】 断機の戒め
9. 蒙を啓く ( もうをひらく )
無知の人々に必要な知識を与える。啓蒙する。
【参考】 「蒙」は、知識がなく道理に暗いこと。
【例】 「彼が書いた書は、誰でも蒙を啓けるように書かれている」
10. モーションをかける ( もーしょんをかける )
相手に働きかける。特に、気のある異性の関心を引こうとして、積極的な行為に出る。
【例】 「気になる人が近くに来たので、モーションをかけてみる」
11. 燼には火がつきやすい ( もえぐいにはひがつきやすい )
やけぼっくいには火がつきやすいということから、前にかかわりあった者は、仲たがいしたあとでも、
また元のように結ばれやすい。もえぐいはその一部が炭化されているので火がつきやすい。
【参考】 焼けぼっくいに火が付く
12. 目算を立てる ( もくさんをたてる )
何かをするに先立って全体の計画を立て、費用や時間の大体の見通しをつける。
【例】 「欲しい物を買うために目算を立てたが、大幅に狂いそうだ」
13. 藻屑となる ( もくずとなる )
海難事故や海戦などで死ぬ。
【例】 「今回の座礁事故で多くの人が海の藻屑となった」
14. もしものこと ( もしものこと )
万が一の出来事の意で、特に、死など好ましくない出来事。
【例】 「私にもしものことがあったら、この手紙を読みなさい」
15. 文字通り ( もじどおり )
その文字によって表わされる言葉通りの意味で、少しの誇張もない様子。
【例】 「文字通り蜂の子を散らすように人がいなくなった」
16. 餅は粉で取れ ( もちはこでとれ )
餅をのすときには取り粉を沢山使ってのせよ、ということで、物事をなすには無理をせず、
もっとも適当な方法でやるべきだということ。
17. 餅は餅屋 ( もちはもちや )
餅をつくのは、道具さえあれば誰でもできそうだが、本職の餅屋がいちばんうまい、ということから、
物にはそれぞれの専門家があって、素人はやはり専門家には及ばない、という意味。
【参考】 「餅屋は餅屋」ともいう。
【例】 「台所を業者に清掃してもらったら、やはり餅は餅屋ですごくきれいになった」
18. 持ち物は主に似る ( もちものはぬしににる )
持ち物を見れば、その人の人柄が想像できるということ。
19. 沐猴にして冠す ( もっこうにしてかんす )
野卑な人をあざける語。「沐猴」は猿。猿が着物を着て冠をつけているようだ、という意味。
人君の地位につく資格のない野人ということ。
【類句】 猿に烏帽子
20. 勿体ないも卑しいから ( もったいないもいやしいから )
落ちたご飯粒などを、もったいないといって、拾って食べるのも、本当は心が卑しいからだということ。
21. 持ったが病 ( もったがやまい )
なければないでよいものを、持っているために、めんどうが起こること。
22. 持った前にはつくばう ( もったまえにはつくばう )
立派な人だから頭を下げるというのではなく、金のある者には頭を下げる。
23. 本木にまさる末木なし ( もときにまさるうらきなし )
最初に伸びた幹以上に太く育つ枝はない。色々振り返ってみても、初めに関係のあったものより、優れた物はない。
次々に妻を替えてみても、最初の配偶者が結局一番よい、という意味で使うことが多い。
24. 元の木阿弥 ( もとのもくあみ )
再び以前の状態に戻る。貧窮から立ち上がって産を成した者が、失敗して再びもとの貧窮の状態に帰ること。
昔、大和の国の郡山の城主筒井順昭が病死した時、嗣子の順慶が幼かったので、容姿や声が似ていた盲人の木阿弥を替え玉とし、
薄暗い寝所に寝かせて、順昭が病気で寝ているように見せかけた。順慶が成人して喪を発したのち、替え玉は、
また、元の木阿弥に返ったという故事による。
【例】 「ゲームクリアまであと少しというところでセーブデータが消え、元の木阿弥になった」
25. 求めよさらば与えられん ( もとめよさらばあたえられん )
ひたすら神に祈り求めなさい。そうすれば神は正しい心と正しい信仰とを与えて下さるでしょう。
自ら積極的に努力すれば、必ずそれにふさわしい結果が得られる、という意味。
【参考】 新約聖書に「求めよ、さらば与えられん。叩けよ、さらば開かれん」とある。
26. 戻り道は迷わぬ ( もどりみちはまよわぬ )
一度失敗したことは、二度目には失敗せずにやれることのたとえ。