1. 千金の子は市に死せず ( せんきんのしはいちにしせず )
金持ちの者は、自分の身を大切にするから、町なかで人と争って死ぬような軽はずみなことはしない。
転じて、大望のある者は、つまらぬ者の手にかかって死ぬようなことをしない。
【参考】 蘇軾の文「留侯論」に「千金の子は盗賊に死せず。何となれば、
其の身の愛す可くして、盗賊の以て死するに足らざればなり」とある。」
【類句】 金持ち喧嘩せず
2. 千金の子は堂に垂せず ( せんきんのしはどうにすいせず )
金持ちの者は、自分の身を大切にするから、ころげ落ちる危険を避けて建物の端にはいない。「垂」は「陲」で、端の意味。
3. 千金は死せず百金は刑せられず
( せんきんはしせずひゃくきんはけいせられず )
裁判官に、そでの下を千金おくれば死刑を免れるし、百金おくれば刑罰を許されるということで、
金の力の大きなことと、官吏の私欲の深いことをいう。
4. 千鈞も船を得れば則ち浮かぶ
( せんきんもふねをうればすなわちうかぶ )
重い物でも船に乗せれば浮かぶし、軽いものでも船がないと沈む。
賢者も地位があってこそ、その手腕を発揮することができるの意。
5. 千金を買う市あれど一文字を買う店なし
( せんきんをかういちあれどいちもんじをかうみせなし )
市にはなんでも売っていて、千金の買い物もできるが、文字を売っている店はない。
だから文字は、自分で学ぶよりほかない。
6. 千石取れば万石羨む ( せんごくとればまんごくうらやむ )
千石取りになれば、万石取りになりたいというように、人の欲望には限りがないたとえ。
7. 千石万石も米五合 ( せんごくまんごくもこめごごう )
千石万石の知行とりでも、食べる米は一日五合で、普通の人と変わりはない。
欲張っていくら金をためてみても、死んでしまえば、行く先は同じだ。
8. 千載一遇 ( せんざいいちぐう )
めったにないよい機会。千年目に一度出会う機会という意味。
9. 千秋楽 ( せんしゅうらく )
相撲や演劇などの興行の最後の日。
昔、寺院の法会(ほうえ)の時に演奏する雅楽の名で、最後に奏する習慣があったところから。
10. 千丈の堤も蟻の一穴から
( せんじょうのつつみもありのいっけつから )
一丈は十尺、一尺は三十センチ。ほんのちょっとしたことがもとで、とんでもない大事が起こる、という意味。
【参考】 「千丈の堤もろう蟻の穴を以て潰ゆ」ともいう。
【類句】 蟻の穴から堤も崩れる
11. 千日の萱を一日 ( せんにちのかやをいちにち )
千日もかかって刈ったかやを、たった一日で燃してしまう。
長い間苦労したものを、一度にだめにしてしまうたとえ。
12. 千人の指さす所病なくして死す
( せんにんのゆびさすところやまいなくしてしす )
千人もの大勢の人に後ろ指をさされれば、たとえ病気がなくとも死ぬ。
【類句】 衆口金を鑠す
13. 千篇一律 ( せんぺんいちりつ )
どれもこれも変わりばえがなく、面白味がないこと。
多くの詩篇がみな同じ調子で作られていること。
14. 千万人と雖も我往かん ( せんまんにんといえどもわれゆかん )
自分自身を反省してやましいことがなければ、たとえ敵が千万人いたとしても、わたしは自分の意見を主張し向かって行こう。
15. 千三つ ( せんみつ )
取引がまとまるのは千件に三件ぐらいというところから、土地建物の売買や周旋を商売とする人をいう。千三つ屋。
また、千のうち真実は、三つしかないということから、うそつき・ほらふきのことをいう。
16. 千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらず
( せんりのうまはつねにあれどもはくらくはつねにはあらず )
一日に千里も走るような名馬は、いつの時代にもいるが、その名馬を見分けるばくろうは、いつもいるとは限らない。
世間に人材はいつの時代にもいるが、これを用いてその才能を十分に発揮させる宰相はめったにいない。
【参考】 「伯楽」は、馬の鑑定をする人、馬の売買をする商人、ばくろう。
17. 千羊の皮は一狐の腋に如かず
( せんようのかわはいっこのえきにしかず )
千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、
多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。
18. 千里眼 ( せんりがん )
遠い所のできごとや人の心などを、直覚的に感知することができる能力。千里の先までも見抜く能力。
後魏(こうぎ)の楊逸(よういつ)は、民衆のための政治を心がけ、
耳目の役目をする者を広く配置して遠方の情報をよく知ったので、人が千里眼を持っていると言った。
19. 千里行を留めず ( せんりこうをとどめず )
千里もの長い道を行くあいだに、誰一人としてこれをさえぎるものがない。
天下に敵するものがないことにいう。
20. 千里同風 ( せんりどうふう )
天下が統一されて平和な状態をいう。遠い千里の先までも同じ風が吹いている意。
【類句】 万里同風
21. 千里の行も足下に始まる ( せんりのこうもそっかにはじまる )
千里も遠いところに旅行する場合にも、その第一歩は足下から始まる、ということから、
どんな大きな仕事も手近なところから始まる、という意味。
22. 千里の道も一歩から ( せんりのみちもいっぽから )
千里もの遠い旅路も、足もとの第一歩から始まる。
遠大な事業も手近なところから始まる、という意味。
【参考】 千里の行も足下より始まる
23. 千里も一里 ( せんりもいちり )
恋しい人のところに会いに行く時は、どんな遠い所も短く感じられて苦にならない。
「惚れて通えば千里も一里、会わず帰ればまた千里」という俗謡による。
24. 千慮の一失 ( せんりょのいっしつ )
賢い人でも多くの考えの中には失策もあるということから、十分に注意していたにもかかわらず、思いがけない失敗をする様子。
【例】 「慎重に事を運んだのに、それに気付かなかったのは千慮の一失だった」
【類句】 弘法も筆の誤り / 猿も木から落ちる / 上手の手から水が漏れる
25. 千慮の一得 ( せんりょのいっとく )
愚かな人でも多くの考えの中には一つや二つのよい考えがある。
26. 二千石 ( にせんせき )
漢代の群の長官の年俸は二千石の穀物であったことから、地方長官のことをいう。
27. 海千山千 ( うみせんやません )
海に千年、山に千年すんだ蛇は竜になるという言い伝えから、あらゆる経験を積み、
世の中の表裏に通じていて、悪賢いこと。また、そのようなしたたか者。
28. 昔千里も今一里 ( むかしせんりもいまいちり )
すぐれた人でも年をとればそれだけ働きがにぶくなり、なんら凡人とかわりがないということ。
29. 牛も千里馬も千里 ( うしもせんりうまもせんり )
巧いかまずいか、遅いか早いかの違いはあっても、行きつくところは結局同じである。
あわてることはないというたとえ。
30. 虎は千里の藪に住む ( とらはせんりのやぶにすむ )
すぐれたものは狭苦しいつまらぬ所にはいないということ。
大望を抱いて郷里を飛び出す青年などの意気をこういったもの。
虎は千里もあるような広いやぶに住んでいる。
31. 波に千鳥 ( なみにちどり )
絵になりそうな取りあわせをいう。
【参考】 「梅に鶯」も同じ意味。
32. 親は千里を行くとも子を忘れず
( おやはせんりをゆくともこをわすれず )
親はどんなに遠く子と離れていても、絶えず我が子のことを案じている。不孝の子でも思っている。
33. 鶴は千年亀は万年 ( つるはせんねんかめはまんねん )
鶴と亀とは寿命が長くめでたいものとされ、縁起を祝う言葉に用いられる。