34. 一攫千金 ( いっかくせんきん )
一度にたやすく大金をもうける。たいした苦労をせずに、一仕事して大きな利益を得る。
【参考】 「一攫」は、ひとつかみ、という意味。
【類句】 濡れ手に粟
35. 目明千人盲千人 ( めあきせんにんめくらせんにん )
目の見える人が千人いれば、目の見えない人も千人いる。
世間には物の道理がわかる人もいれば、わからぬ人もいる、という意味。
盲人はものの道理がわからない、という意味ではない。
36. 寒松千丈の節 ( かんしょうせんじょうのせつ )
寒さにあっても葉の色の変わらない松の大木のこと。忠節の操のたとえ。松の操。
37. 海に千年河に千年 ( うみにせんねんかわにせんねん )
長い間、苦しい経験を積んで悪賢くなり、とても一筋縄ではいかない者のことをいう。
38. 虎は千里を行って千里を帰る
( とらはせんりをいってせんりをかえる )
虎のような猛獣でも、子のためには一日に千里行って、また千里を子のところに戻ってくる。
親が子に心を引かれることの強いのをいう。
39. 悪事千里を走る ( あくじせんりをはしる )
人の善行は容易に世に知れないが、悪い行いやよくない評判は、いくら隠してもすぐ遠くまで知れ渡る。
【参考】 Ill news travels fast.
40. 囁き千里 ( ささやきせんり )
ひそひそとささやいた話が、すぐに遠くまで知れ渡ってしまう。
秘密やないしょ話はもれやすいたとえ。
41. 雀の千声鶴の一声 ( すずめのせんこえつるのひとこえ )
つまらぬ者の千言より、すぐれた人の一言の方がずっと価値があること。
中心人物が一言いえばおさまることのたとえ。
42. 老驥千里を思う ( ろうきせんりをおもう )
英雄が年は老いても元気が衰えないというたとえ。
老驥とは老いた駿馬(しゅんめ)、老いたる英傑(えいけつ)のこと。
43. 一諾千金 ( いちだくせんきん )
ひとたび承諾すれば、千金にも代えられない価値がある。絶対に約束を破らない、信頼できる承諾。
「季布(きふ)の一諾」ともいう。季布は楚の名将で、初め項羽の将となり、のち漢の高祖に従った。
いったん引き受けたことは必ず実行したので、人々から深く信頼された。
44. 目元千両口元万両 ( めもとせんりょうくちもとまんりょう )
美人の形容で美人は目元が美しく口元が可愛いらしい。
45. 一字千金 ( いちじせんきん )
詩や文章のすぐれているのをほめる語。一字の価値が千金に相当するという意味。
秦の呂不韋(りょふい)が『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』を著したとき、一字でも増損できる者があったならば、
千金を与えると懸賞を出した故事による。
46. 一刻千金 ( いっこくせんきん )
かけがえのなく大切な時や楽しい時の、過ぎやすいことを惜しむ語。
わずかの時間が千金にも値する、という意味。
47. 一瀉千里 ( いっしゃせんり )
物事が速くはかどること。また、文章や弁舌がすらすらとしてよどみのないこと。
川の水がひとたび流れ出すと、たちまち千里も走り流れる意。
48. 一擲千金 ( いってきせんきん )
思いきりよく大胆なことをする。惜しげもなく一度に大金を投げ出して、勝負にかけること。
49. 一髪千鈞を引く ( いっぱつせんきんをひく )
非常に危険なこと。一本の髪の毛で、三千斤の重いものを引っ張る意。
【参考】 「一鈞」は三十斤(約6.68キログラム)。
50. 誉人千人悪口万人 ( ほめてせんにんわるくちまんにん )
世の中には、人をほめる者は少なく、悪口をいう者が多いということ。
51. 霞に千鳥 ( かすみにちどり )
霞は春、千鳥は冬のものなので、それが一緒ではふさわしくない、あり得ないことのたとえ。
52. 一騎当千 ( いっきとうせん )
非常に勇ましく強いこと。
一騎で千人の敵を相手にするほど強いという意味。
【参考】 「一人(いちにん)当千」ともいう。
53. 白髪三千丈 ( はくはつさんぜんじょう )
積もる憂いの形容。長年の憂いが積もって頭髪が白くなり、長く伸びた、と嘆じた語。
「三千丈」は、長いことを示す誇張した表現。
54. 早い馬も千里のろい牛も千里
( はやいうまもせんりのろいうしもせんり )
ものごとはあわててもしかたがないということ。
55. 縁あれば千里 ( えんあればせんり )
まことに「縁は異なもの」で、千里も遠く隔てた土地の人と夫婦になったり、
すぐ近くにいても縁がなければ口もきかない。
【参考】 「縁あれば千里も逢い易く、縁なければ対面も見がたし」の略。
56. 一毫の差千里の差となる ( いちごうのさせんりのさとなる )
たとえわずかの差ではずれても、はずれたのはやはりはずれたのである。
一点の差で不合格になっても、不合格は不合格である、という意味。
57. 面の皮の千枚張り ( つらのかわのせんまいばり )
厚かましくて、恥ずかしいことをなんとも思わない。
58. 騏も一日に千里なる能わず ( きもいちにちにせんりなるあたわず )
どんな名馬でも一日に千里も行くことはできない。
学問は一足とびに達するものではないことのたとえ。
59. 一匹狂えば千匹の馬も狂う
( いっぴきくるえばせんびきのうまもくるう )
群衆はわずかの暗示にもたやすく動かされること。付和雷同する群集心理をいう。
60. 春宵一刻値千金 ( しゅんしょういっこくあたいせんきん )
春の夜は何ともいえぬよいものであって、その興趣(きょうしゅ)は短い時間が一千金にも相当する。「宵」は夜の意味。
61. 仲人は草鞋千足 ( なこうどはわらじせんそく )
仲人の骨折りは大変なものだということ。
昔、仲人が縁談を一つまとめるためには、わらじをたくさん履き切ったといわれた。
62. 惚れて通えば千里も一里 ( ほれてかよえばせんりもいちり )
恋人に逢いたい一心は、道の遠いことなどを問題にしない、ということから、
好きですることは、少しも苦労に感じない、というたとえ。
63. 小姑一人は鬼千匹に当たる
( こじゅうとひとりはおにせんびきにあたる )
嫁の身にとっては、夫の兄弟姉妹は非常な苦労の種で、その一人一人が鬼の千匹にも相当するほどである。
64. 喧嘩過ぎての棒千切 ( けんかすぎてのぼうちぎり )
喧嘩をしているうちこそ棒切れの必要があるが、治まった後では役に立たない。時機に遅れて役に立たない意。
「千切」は「乳切」とも書き、両端を太く中央を少し細く削った棒。
【参考】 「喧嘩過ぎての向こう鉢巻(はちまき)」「喧嘩過ぎての空威張(からいば)り」「争い果てての棒千切」ともいう。
65. 蒼蠅驥尾に付して千里を致す
( そうようきびにふしてせんりをいたす )
アオバエが名馬の尾にとまって、千里の先まで行く。凡人が賢人や俊傑の後ろについて、功名をなすにたとえる。
【参考】 「蒼蠅」は、アオバエ。転じて君側のざん者、侫人のたとえ。
66. 中流に舟を失えば一壺も千金
( ちゅうりゅうにふねをうしなえばいっこもせんきん )
流れの中央で舟が難破すると、日ごろはあまり値打ちのないつぼでさえ、浮き袋の代用となって、大事な人命を救うことができる。
つまらぬものでも、時と場合によっては、平素の何倍もの値打ちが出ること。
67. 渇えて死ぬは一人飲んで死ぬは千人
( かつえてしぬはひとりのんでしぬはせんにん )
飢え死にする人は少ないが、酒を飲み過ぎて死ぬ人は多い。
ぜいたくで死ぬ人は多いということ。
68. 親の意見と茄子の花は千に一つもむだはない
( おやのいけんとなすびのはなはせんにひとつもむだはない )
茄子にはむだ花がなく、花が咲くと必ず実がなるように、親が子にする意見には決してむだがない。
【類句】 冷や酒と親の意見は後できく