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生物の「馬」を含む ことわざ 1

1. 脚を露す ( ばきゃくをあらわす )

 芝居で人が馬のように見せていたのが、何かのはずみに足が見えてしまうことから、 ごまかしていた素性や実力の程度がわかってしまうことをいう。化けの皮がはがれる。
 【例】 「偉そうなことを言っていたが、そこを間違うなんて、ついに馬脚を露したな」

2. 耳東風 ( ばじとうふう )

 「東風」つまり春風が吹くと人は喜ぶが、馬には何の感動もない、ということから、 人の意見や批判などを、気にとめず聞き流す、という意味。
 【類句】 馬の耳に念仏

3. の耳に念仏 ( うまのみみにねんぶつ )

 馬が念仏などを聞いても、少しもありがたがらないことから、意見などを言っても聞き入れようとせず、無駄であること。
 【例】 「人がせっかく助言してあげたのに、馬の耳に念仏だったようだ」
 【類句】 馬耳東風

4. には乗ってみよ人には添うてみよ
 ( うまにはのってみよひとにはそうてみよ )

 馬には乗ってみないと、人とは親しく交際してみないと、また、夫婦になって共に苦労してみないと、相手の良否を判断することはできない。 そのものの値打ちは、外見や、ちょっとした付き合いだけではわからない、という意味。
 【参考】 「人には添うてみよ馬には乗ってみよ」ともいう。

5. 革屍を裹む ( ばかくしかばねをつつむ )

 戦場で討ち死にすること。昔、戦場で死んだ時には、馬の皮で死体を包んで送り返したのでいう。
 【参考】 「裹(か)」は「裏(り)」とは別字。

6. と武士は見かけによらぬ ( うまとぶしはみかけによらぬ )

 馬も武士も外観のみではわからない。見かけは貧弱でも剣道の達人もあるし俊足の馬もあり、 威風堂々としていても剣道が下手、走れない駄馬もいる。

7. の背を分ける ( うまのせをわける )

 「馬の背」は山の稜線(りょうせん)のことで、稜線を境に、片方では雨が降り片方では晴れているというように、 地域的に雨や雪の降る様子が異なること。
 【類句】 馬の背を越す

8. を牛に乗り換える ( うまをうしにのりかえる )

 速い馬を遅い牛に乗り換える。すぐれたほうを捨てて劣ったほうを採る意。
 【参考】 「牛を馬に乗り換える」の対。

9. を鹿 ( うまをしか )

 間違ったことでも権力で押し通すこと。 秦の皇帝の前で並ぶ者なき権力者の趙高が、鹿をさして馬といい通した故事から、 詭弁をろうして自分の権力で押し通すことのたとえ。

10. 子にも衣装 ( まごにもいしょう )

 「馬子」は昔、馬を引いて人や荷物を運ぶことを職業とした者のことで、 馬子でも立派な服を着れば、相応な人物に見えるという意から、 身なりだけ繕っていることを、皮肉に、また好意的に言う語。
 【参考】 「馬子にも衣装髪形」ともいう。
 【参考】 Fine feathers make birds.

11. 風( ふうばぎゅう )

 互いに無関係なこと。「風」はさかりがつく、という意。「風する馬牛も相及ばず」で、さかりがついた雌雄の牛馬は、 遠く離れていても誘い合うが、それも出来ないほど、土地が遠く離れていること。

12. 竹の友 ( ちくばのとも )

 幼友達。共に竹馬に乗って遊んだ幼い時の友達。
 【例】 「同窓会に出席して、久しぶりに竹馬の友に会った」

13. 名に癖あり ( めいばにくせあり )

 名馬といわれるほどの馬は、どこか扱いにくい癖があるものである。 優れた能力を持った人は強い個性を持っているということ。

14. を水辺に連れて行くことはできるが水を飲ませることはできない ( うまをみずべにつれてゆくことはできるがみずをのませることはできない )

 気の進まないものを、他人が無理に動かそうとしてもむだである。
 【参考】 You may take a horse to the water, but you can't make him drink. の訳語。

15. 老の智 ( ろうばのち )

 経験豊かな者は、物事の方針を誤らないたとえ。 昔、斉の管仲が桓公に従って雪の中で道に迷い、老馬を放って、そのあとについて道がわかったという故事。

16. 桂の高上がり ( けいまのたかあがり )

 将棋の駒の桂馬は、駒を一つ飛び越して斜め前に進む事ができ、独特な働きもするかわり、 真正面にも横や後ろへも動けないので、あまり前に出すぎると頭に歩を打たれてむざむざ死んでしまうことも多い。 身分不相応な地位に上がったために、もろくも失敗することがある、という意味。
 【参考】 「桂馬の高飛び歩の餌食」ともいう。

17. 痩に重荷 ( やせうまにおもに )

 身分不相応の重い責任を負うたとえ。

18. 空に怪我なし ( からうまにけがなし )

 一物を持たないものは損のしようがない、という意味。 空馬は人も荷物も乗せていない馬のこと。

19. 汗の労 ( かんばのろう )

 戦場での苦労をいう。戦場に馬を走り回らせ、馬に汗をかかせて立てた、てがら。

20. 意心猿 ( いばしんえん )

 暴れる馬や騒ぐ猿を、じっとさせておくことがむずかしいことにたとえて、煩悩や妄念や欲情が起こって、 どうにも抑えられないこと。心が騒いで、どうしても静められないことをいう。

21. 痩の道いそぎ ( やせうまのみちいそぎ )

 弱いものがなんとかしてやろうと、気ばかりあせることのたとえ。

22. 荒の轡は前から取れ ( あらうまのくつわはまえからとれ )

 思いきって正面からくつわをとれば、あばれ馬もおとなしくなる。 困難なことには小細工をせずに、堂々と正面からぶつかるのがよいということ。

23. 犬の心 ( けんばのこころ )

 主君や親のために尽くす忠誠心をいう。

24. 犬の養い ( けんばのやしない )

 親を養うのに、犬や牛馬に食物を与えて養うのと同じように、 ただ口腹を満たすだけで敬愛の念のないことをいう。

25. 犬の歯 ( けんばのよわい )

 自分の年齢をへりくだっていう語。犬や馬のようにむだな年齢を重ねるという意味。
 【参考】 「歯」は「齢」と同じ。

26. 犬の労 ( けんばのろう )

 主君または他人のために、力を尽くして奔走すること。 他人に対して自分の労苦をへりくだって言う言葉。
 【参考】 「主人のために犬馬の労を惜しまない」と使う。

27. 子の朝勇み ( こうまのあさいさみ )

 初めにあまり力を入れ過ぎて早く疲れてしまうことの例え。 子馬は、朝はたいそう元気で走りまわっているが、やがて疲れてしまうからいう。
 【参考】 「子馬の朝駆(あさが)け」ともいう。

28. 千里のは常にあれども伯楽は常にはあらず
  ( せんりのうまはつねにあれどもはくらくはつねにはあらず )

 一日に千里も走るような名馬は、いつの時代にもいるが、その名馬を見分けるばくろうは、いつもいるとは限らない。 世間に人材はいつの時代にもいるが、これを用いてその才能を十分に発揮させる宰相はめったにいない。
 【参考】 「伯楽」は、馬の鑑定をする人、馬の売買をする商人、ばくろう。

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