51. 枯れ木も山の賑わい ( かれきもやまのにぎわい )
枯れ木でも山の景観をにぎやかにするのに役立つ。
つまらない者でも数の中に加わると、座をにぎやかにし景気づけになるから、いないよりはましである。
人だけでなく物についてもいう。
52. 父の恩は山よりも高く母の恩は海より深し
( ちちのおんはやまよりもたかくははのおんはうみよりもふかし )
父母の恩は、はかりしれないほど大きい、という意味。
53. 国破れて山河在り ( くにやぶれてさんがあり )
「国」は国都。戦乱などのために国都は破壊されても、自然の風物だけはもとのままである、という感慨の言葉。
【参考】 芭蕉の『奥の細道』で、平泉を訪れたところにこの句を引用している。
54. 鉈を貸して山を伐られる ( なたをかしてやまをきられる )
好意をもってしてやったことがかえって身のためにならないでかえって害になる。
自分で盗人の手助けをしてやったのと同じことになる。
55. 海の物とも山の物ともつかぬ
( うみのものともやまのものともつかぬ )
将来どのようになるか、全く見当がつかないこと。
56. 驚き桃の木山椒の木 ( おどろきもものきさんしょのき )
これは驚いた、というときに使う語。
「驚き」の「き」に「木」をかけて語呂合わせした語。
57. 燈心で須弥山を引き寄せる ( とうしんでしゅみせんをひきよせる )
できもしないこと。力の及ばないこと。また、だいそれたことにもいう。
58. 綺麗な花は山に咲く ( きれいなはなはやまにさく )
本当に美しい花は高い山に咲いている。
本当によいものは、人の気づかないところにあるということ。
59. 父母の恩は山よりも高く海よりも深し
( ふぼのおんはやまよりもたかくうみよりもふかし )
両親から受けた恩は、何物にも比べることができないほど大きい。
60. 何れを見ても山家育ち ( いずれをみてもやまがそだち )
大勢いるが、どちらを見ても田舎育ちで、上品そうな顔立ちは一人もいない。
【参考】 歌舞伎の「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」から出た語。
61. 鹿を逐う者は山を見ず ( しかをおうものはやまをみず )
鹿を捕らえようとして追い回している者は、獲物にばかり心奪われて山全体を見ず、その深さも忘れて危険な目に遭う、
ということから、一つのことに夢中になっている者は、ほかのことを顧みない。
目先の利益を得ることに夢中になっている者はほかの事情には気付かない、という意味。
【参考】 「鹿を追う猟師山を見ず」ともいう。
62. 塵も積もれば山となる ( ちりもつもればやまとなる )
ごくわずかなものでも沢山積み重なると、ついには高大なものとなる、ということ。
【参考】 Many a little makes a mickle (or a great).
63. 風は吹けども山は動ぜず ( かぜはふけどもやまはどうぜず )
周囲のさまざまな紛争に少しも動かされず、自若(じじゃく)としていること。
また、周囲の事情や評判に心をとめず、初一念をつらぬくこと。
64. 後は野となれ山となれ ( あとはのとなれやまとなれ )
当面の問題さえうまく処理がつけば、後のことはどうなってもかまわないということ。
【参考】 「末は野となれ山となれ」ともいう。
【例】 「とりあえずこれを完成させてしまえば、後は野となれ山となれだ」
65. 錐刀を以て泰山を堕つ ( すいとうをもってたいざんをこぼつ )
きりや小刀のように小さな刃物で、大きな山を切りくずす。
小さな力を以て強力な相手に立ち向かうことで、これをそこなうことができないのをいう。
66. 人間到る処青山あり ( にんげんいたるところせいざんあり )
故郷だけが骨を埋める土地とは限らない。人間が活動する場所はどこでもある。
【参考】 幕末の僧月性の詩に「骨を埋むるに何ぞ期せん墳墓の地、人間到る処青山あり」とある。
「人間」は「じんかん」とも読む。「青山」は墓地をいう。
67. 貧乏人の子沢山 ( びんぼうにんのこだくさん )
子供を教育する金のない貧乏人に限って、とかく子供が沢山いる。
皮肉な結果と言おうか、必然的な結果と言おうか。
【類句】 律儀者の子沢山 / 貧乏柿の核沢山
68. 律儀者の子沢山 ( りちぎもののこだくさん )
きまじめな人は、遊蕩にふけることもないので、自然子供が多く生まれる。
【類句】 貧乏人の子沢山
69. 人跡繁ければ山も窪む ( ひとあとしげければやまもくぼむ )
人がふんだくらいではと思われるが、非常に多くの人がふめばいつしか草原にも道ができる。
山でもしまいには低くなる。
【参考】 「雨垂れ石を穿つ」と同じ意味。
70. 車は海へ船は山へ ( くるまはうみへふねはやまへ )
地位または用途がさかさまになっていることのたとえ。
物事があべこべになっていることをいう。
71. 貧乏柿の核沢山 ( びんぼうがきのさねたくさん )
貧乏人には子供が多いことのたとえ。渋柿は実は小さいのに中に種がたくさんある。
貧乏人も多いのは子供ばかりだということ。
72. 座して食らえば山も空し ( ざしてくらえばやまもむなし )
働かないで食っていれば、どれほどたくさんの財産があっても、やがては使い果たしてしまう、という意味。
【類句】 遊んで食えば山も尽きる
73. 船頭多くして船山に上る ( せんどうおおくしてふねやまにのぼる )
物事を進めるにあたって、指図をする人が多いために統一がとれず、全く見当違いのほうに物事が進んでしまうこと。
【参考】 「船頭」は船のかしら・船長のこと。
【参考】 Too many cooks spoil the broth.
74. 妻の言うに向う山も動く ( つまのいうにむこうやまもうごく )
夫にとって、妻の述べる意見の影響は大きいことのたとえ。
「向う山」は、向こうに見える山で、動くはずのない山でさえ、妻の言うには動くという意。
75. 来て見ればさ程でもなし富士の山
( きてみればさほどでもなしふじのやま )
富士山に登ってみれば、下で見るほど荘厳(そうごん)でも美しくもない。
実際にはそれほどでもない、という意味。
76. 死はあるいは泰山より重くあるいは鴻毛より軽し
( しはあるいはたいざんよりおもくあるいはこうもうよりかるし )
命は場合によっては非常に大切にせねばならないが、また場合によってはいさぎよく捨てねばならない。
つまらないことで死ぬのはもったいないが、義のためには堂々と死ぬことが肝心である。