1. 山師の玄関 ( やましのげんかん )
見かけだけが立派なことのたとえ。山師は普通には投機や詐欺まがいのことをする人をいうが、
本来は山の鉱脈探しや鉱石の採掘を職業とする人をいう。
2. 山に躓かずして垤に躓く ( やまにつまずかずしててつにつまずく )
大事は用心するから失敗しないが、小事は注意しないから失敗するたとえ。
3. 山家に木なし ( やまがにきなし )
物はありそうな所に、かえってないものだということ。
いつも手に入るところには用意してないものである。
4. 山師は山ではて川師は川ではてる
( やましはやまではてかわしはかわではてる )
熟練者は自分の技能におごりたかぶるため、案外その技能がわざわいして失敗することがある。
【類句】 善く游ぐ者は溺る
5. 山に蛤を求む ( やまにはまぐりをもとむ )
海でとれるはまぐりを山で求めるように、方法を誤るために、決してできないことのたとえ。
6. 山の芋鰻とならず ( やまのいもうなぎとならず )
世の中にはとてつもない変化などというものはない。
7. 山より大きな猪は出ぬ ( やまよりおおきないのししはでぬ )
誇張するにも程度があるということ。
大きいということをたとえるのに、山のようなというが、そこまではよいとしても、
より大きいというのはよくない。
8. 山雨来たらんとして風楼に満つ
( さんうきたらんとしてかぜろうにみつ )
事が起ころうとする前に、なんとなく穏やかでない様子がただようこと。
山からにわか雨が降りそうになる時、一陣の風が高楼いっぱいに吹き込んで来るという意味。
9. 山椒は小粒でもぴりりと辛い ( さんしょうはこつぶでもぴりりとからい )
体は小さくても、決して侮れない才覚・手腕・気迫などを備えていることのたとえ。
10. 山中暦日なし ( さんちゅうれきじつなし )
山の中に静かに暮らす者は、のんびりとしていて、歳月の過ぎゆくのを忘れる。
11. 山厲河帯 ( さんれいかたい )
泰山が砥石のように小さくなり、黄河が帯のように細くなろうとも、決して変わらないという誓いの言葉。
12. 山中の賊を破るは易く心中の賊を破るは難し
( さんちゅうのぞくをやぶるはやすくしんちゅうのぞくをやぶるはかたし )
心の中に起こる私欲や邪念を打ち破ることは、なかなかむずかしい。
山の中にたてこもっている盗賊を討伐するのはやさしいが、心の中に巣くう賊(邪念)を破ることはむずかしい。
精神修養のむずかしさをいった、明(みん)の王陽明(おうようめい)の言葉。
13. 山が見える ( やまがみえる )
難関を乗り切って、先の見通しがつく。
【例】 「残すところ読書感想文だけとなり、宿題も山が見えてきた」
14. 山が当たる ( やまがあたる )
「山」は鉱山の意で、大体の見当をつけてやったことが、予想通りうまくいく。
【参考】 「山が外れる」は反対の意。
【例】 「試験の山が当たり、いい点が取れた」
15. 山を当てる ( やまをあてる )
鉱脈をうまく掘り当てる意から、万一の可能性をねらってやったことがうまくいく。
【例】 「素人が株で山を当てるのは難しい」
16. 山をかける ( やまをかける )
相手の出方などに大体の見当をつけ、そこにねらいを定める。
【例】 「今回の試験では、山をかけたところがまったく出なかった」
【類句】 山を張る
17. 山場を迎える ( やまばをむかえる )
物事が進行し、今後の成り行きを決める上で最も重要な場面になる。
【例】 「志望校の二次試験に進み、入学試験も山場を迎える」
18. 山山だ ( やまやまだ )
「~たいのは山山だ」の形で、そうしたい気持ちは非常に強いが、実際にはそうはいかない様子。
【例】 「一緒に行きたいのは山山だが、その日は都合が悪くていけない」
19. 大山鳴動して鼠一匹 ( たいざんめいどうしてねずみいっぴき )
一大事だと前宣伝が大きく、あれこれ騒ぎ立てた割には、たいした結果にならなかった様子。
【参考】 「大山」は「泰山」とも書く。
【例】 「制作費数十億円といわれた映画も、大山鳴動して鼠一匹、興行収入は大したことなかった」
20. 痩山の雑木 ( やせやまのぞうき )
ものの数にも入らない者のこと。
21. 他山の石 ( たざんのいし )
よその山から出た粗悪な石でも、宝石を磨くのに使える、ということから、他の事がらを参考にして自分に役立てること。
どんなつまらないこと、また、自分より劣っている人の言行でも、
自分の才能や人格を磨く反省の材料とすることができる、という意味。
【例】 「ユーザーの批判も、他山の石として今後に活かすべきだ」
22. 巫山の夢 ( ふざんのゆめ )
男女の情交。昔、楚の懐王が高唐に遊んだ時、昼寝の夢に、巫山の神女に会って契りを結び、
その神女が去る時に、自分は巫山の峰に住み、朝には雲となり、暮れには雨となると言った、という故事による。
23. 梁山泊 ( りょうざんぱく )
豪傑どもの集まり。山東省梁山のふもとに大湿地帯があり、宋代に、宋江らの大盗賊がたてこもったといわれ、
それが『水滸伝』に記述されて有名になった。
24. 山高きが故に貴からず樹有るを以て貴しとなす
( やまたかきがゆえにたっとからずきあるをもってたっとしとなす )
山は高いからといって貴いわけではなく、そこに木が生えているから貴いのである。
人も見かけが立派だからといって貴いのではなく、人格・知恵など内容が伴って初めて立派だといえるのである、という意味。