25. 青山ただ青を磨く ( せいざんただせいをみがく )
青々と茂った山がいつまでもその美しさを失わないように、君子もまたその徳を失うことはない。
26. 奥山の杉のともずり ( おくやまのすぎのともずり )
自業自得のこと。奥山の杉の枝と枝とがすれ合って、自然発火して山火事を出すこと。
27. お山の大将俺一人 ( おやまのたいしょうおれひとり )
この小さい山を支配する大将は俺一人だ。
小さな集団、またはくだらない仲間の中で偉がって一人いい気になっている人間や、
小さな成功で得意になっている人を軽蔑していう。
28. 常山の蛇勢 ( じょうざんのじゃせい )
昔、中国の常山という山に卒然という蛇がいて、その頭を打てば尾が力を合わせてこれを防ぎ、
尾を打てば頭が加勢にき、胴を打てば頭と尾が一緒になってこれを防いだということから、
首尾相応じて攻防し、敵の乗ずるすきがないようにする陣法。
また文章が首尾照応して、各部分の関係が緊密で一貫しているものにもたとえる。
29. 泰山頽れて梁木壊る ( たいざんくずれてりょうぼくやぶる )
山のうちで最も仰ぎ尊ばれる泰山がくずれ、建物のうちで最も大切な梁がこわれる意で、
孔子が自分の死を予知して歌ったことば。転じて、一世の師と仰がれる人の死をいう。
30. 太山に登りて天下を小とす ( たいざんにのぼりててんかをしょうとす )
高山に登って下を見おろすと、すべてのものは小さく見える。
すべて観点が高くなると、凡俗の意見や事柄は取るに足らぬものになるたとえ。
「太山」は、泰山と同じ、中国五岳の一つ。
31. 南山の寿 ( なんざんのじゅ )
人の長寿を祝う言葉。「南山」は、長安の南にある終南山。
終南山のように永久に変わらない、という意味。
32. 北山の怨 ( ほくざんのうらみ )
君主のためにつくして親を養うことができないのを嘆くこと。
周の幽王に仕えていた北山は、その仕事が村で常に多忙であったため、その父母を養うことができないのを悲しんだという。
33. 抜山蓋世 ( ばつざんがいせい )
勇壮な気性の形容。「山を抜き世を蓋(おお)う」と読み、山をも引き抜くほどの力と、一世をおおうほどの壮大な気力。
【参考】 蓋世の雄
34. 宝の山に入りながら空しく帰る
( たからのやまにいりながらむなしくかえる )
大きな利益を手に入れられる好機会に恵まれながら、何も得られないで空しく終わってしまう。
35. 鼻は山人は里 ( はなはやまひとはさと )
物にはそれぞれにふさわしい場所があるものだということ。
桜の花は山奥に人知れず咲いているのがおくゆかしく美しいが、人間は人里に出て見なければ、目指す人をさがしあてることができない。
36. 恋の山には孔子の倒れ ( こいのやまにはくじのたおれ )
「くじ」は「こうし」の呉音。恋のためには孔子のような聖人も過失をおかすたとえ。
37. 日西山に薄る ( ひせいざんにせまる )
年とった人に死期が迫っていることのたとえにいう。日が西の山に沈むこと。
38. 秋葉山から火事 ( あきばさんからかじ )
秋葉山には火難よけの秋葉神社がある。その秋葉山から火事が出たというので、
他を戒めているうちにおひざもとであやまちを犯すことをいう。
39. 葷酒山門に入るを許さず ( くんしゅさんもんにいるをゆるさず )
ねぎ・にんにく・にらなどの臭い野菜と酒とは、浄念を乱し、修行の妨げとなるから、寺門の中に持ち込んではならない。
禅寺などで、寺門のそばの戒壇石に刻んである標語。
【参考】 漢文では「不許可葷酒入山門」である。
40. 海千山千 ( うみせんやません )
海に千年、山に千年すんだ蛇は竜になるという言い伝えから、あらゆる経験を積み、
世の中の表裏に通じていて、悪賢いこと。また、そのようなしたたか者。
41. 愚公山を移す ( ぐこうやまをうつす )
たゆまずに努力すれば、ついには成功する、というたとえ。
昔、愚公という人が、自分の家の前にある大きな山が邪魔になるので取り除きたいと考え、
家内一同を集め、山を移動することを相談し、子から孫、さらに、その子や孫の代までかかれば、
きっと山を移すことが出来るといって働き始めた。天帝は愚公の真心に感じて山を他へ移したという故事。
42. おうら山吹日陰の紅葉 ( おうらやまぶきひかげのもみじ )
おうらやましい、と人の身の上をうらやんで、我が身を日陰のもみじにという秀句。
43. 野くれ山くれ ( のくれやまくれ )
野で日を暮し、山で日を暮し。長い旅路をいう語。
44. 只取り山の時鳥 ( ただとりやまのほととぎす )
ただ取りにするという意のしゃれ。骨を折らないで物を得ること。
45. 生ゆる山は山口から見ゆる ( はゆるやまはやまぐちからみゆる )
木の育ちがよい山は、山の奥まで行ってみなくても、山の入口でそのことがわかる。
46. 義は泰山より重く命は鴻毛より軽し
( ぎはたいざんよりおもくいのちはこうもうよりかるし )
人の守るべき道は泰山よりも重く、それにくらべて命は鴻(おおとり)の羽毛より軽い。
義のために命をすてることは少しもおしくないということ。
47. 海賊が山賊の罪を上げる ( かいぞくがさんぞくのつみをあげる )
自分の悪事、醜行をさしおいて、他人の悪事、醜行をあばきたてること。
また同類でも利害関係が深くないものは、互いに仇敵になること。
48. 仁者は山を楽しむ ( じんしゃはやまをたのしむ )
人の道を心得た人は山を愛し好む。
それは天命に安んじていて静かで安らかで、山のように動じないからである。
49. 蚊をして山を負わしむ ( かをしてやまをおわしむ )
力のない者に大きな仕事をさせることで、とてもその任にたえないことのたとえ。
50. 野に伏し山に伏す ( のにふしやまにふす )
道中で艱難(かんなん)辛苦するたとえ。