154. 顎で背中を掻くよう ( あごでせなかをかくよう )
できないことのたとえ。不可能なこと。
155. 顎で蠅を追う ( あごではえをおう )
病人が手で蠅を追い払うこともできないほど衰弱しきった様子。
また、精力の消耗した人をいう。
156. 胸に一物 ( むねにいちもつ )
心の中にひそかに考えていることがあるのをいう。
【参考】 「腹に一物」ともいう。
157. 胸に釘 ( むねにくぎ )
心中の弱点を突かれること。
158. 胸中成竹有り ( きょうちゅうせいちくあり )
竹を描くに先立って、胸の中ですでにできあがった構図がある。
仕事に取りかかる前に完成の見込みをつけること。
159. 儲けぬ前の胸算用 ( もうけぬまえのむなざんよう )
まだ儲けないうちから、儲けた気になってあれこれと計画をたてることで、
不確実な事柄に期待をかけ、それをもとにしていろいろ企てることのたとえ。
【類句】 捕らぬ狸の皮算用
160. 胆は大きく心は小さく持て ( きもはおおきくこころはちいさくもて )
度胸は大きく、注意力はこまかくして世の中を渡れということ。
161. 胆も興も醒める ( きももきょうもさめる )
あきれはてる。興ざめを強く表現した言葉。
162. 肝胆相照らす ( かんたんあいてらす )
互いにまごころをもって交わる。お互いの気持ちがぴったり合う。意気投合すること。
【参考】 「肝」は肝臓、「胆」は胆嚢(たんのう)、合わせて心の奥底の意味。
163. 肝胆を砕く ( かんたんをくだく )
知能のある限りを尽くして思案する。懸命になって、そのことに当たる。
164. 肺肝を摧く ( はいかんをくだく )
「肺肝」は肺臓と肝臓であるが、心の意味に用いて、心のありたけを尽くして考える。心を砕く、という意味。
元々は、ひどく失望して心が打ち砕かれる、という意味。
165. へそで茶を沸かす ( へそでちゃをわかす )
ひどくばかげていたり子供じみていたりする言動に対して、おかしくてたまらないと思う様子。
【参考】 「へそが茶を沸かす」ともいう。
【例】 「政治なんて全く分らないのに総理大臣になりたいなんて、へそで茶を沸かすようなものだ」
166. 面に似せてへそを巻く ( つらににせてへそをまく )
人はおのおのその性質によって、することにも違いがあるということ。「へそ」は、まるく巻いたつむぎ糸。
167. 臍を噛む ( ほぞをかむ )
自分の臍(へそ)を噛もうとしても噛めないことから、後悔しても及ばないこと。
168. 痘痕も靨 ( あばたもえくぼ )
相手に惚れこんでしまうと、みにくい痘痕もかわいいえくぼに見えるように、欠点でも美点に見えるものである。
【参考】 「痘痕」は天然痘(てんねんとう)がなおって顔に残った跡。
169. 肌に粟を生ず ( はだえにあわをしょうず )
非常に恐ろしいことのたとえ。恐ろしさに、皮膚がかさかさになること。
170. 頤で蠅を追う ( おとがいではえをおう )
ひどくやせおとろえて元気のないさま。
【参考】 「頤」はしたあごのこと。
171. 頤を解く ( おとがいをとく )
「頤」はあごのことで、あごが外れること。大口をあけて笑う意。
172. 踵で頭痛を病む ( かかとでずつうをやむ )
見当違いの心配をすること。まとはずれの心配のたとえ。
173. 思い面瘡思われ面皰 ( おもいおもくさおもわれにきび )
人を恋すればにきびが出るし、人に恋されてもにきびが出る。若い男女をひやかした言葉。
【参考】 「面瘡」は、にきび・そばかすなどのこと。
174. 猫の額にある物を鼠が窺う
( ねこのひたいにあるものをねずみがうかがう )
大胆不敵で、身分をかえりみないこと。また、だいそれた望みをいだくこと。
175. 骸骨を乞う ( がいこつをこう )
高官が辞職を願い出ること。昔、臣下が君主に仕えるのは、自分の肉体を君主にささげたものであるから、
老臣が辞職を願い出る時には、せめて無用の骸骨をお返しいただきたいと願い出る意から出た語。
176. 掌中の珠 ( しょうちゅうのたま )
いつも手のひらの中に持っている珠(真珠)のようなものという意味から、最愛の子または妻。
また、最も大切にしているものの意にも使う。
177. 指を惜しんで掌を失う ( ゆびをおしんでてのひらをうしなう )
わずかな物を惜しんで大きな物を失うことをいう。
178. 握れば拳開けば掌 ( にぎればこぶしひらけばてのひら )
心の持ちよう一つで同じ物でもいろいろに変わることのたとえ。
人を打つこぶしも、人をなでるてのひらも、もとは同じ手である。
179. 怒れる拳笑顔に当たらず ( いかれるこぶしえがおにあたらず )
怒ってふりあげたげんこつも、笑顔で応対されては打ち下ろせない。
180. 千羊の皮は一狐の腋に如かず
( せんようのかわはいっこのえきにしかず )
千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、
多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。
181. 怨骨髄に入る ( うらみこつずいにいる )
心の底から深く人を恨むこと。恨みの気持ちが骨のずいまでしみ込む、という意味。
【参考】 「恨み骨髄に徹す」ともいう。
182. 髀肉の嘆 ( ひにくのたん )
功名を立てる機会がないことを、悔しがること。「髀」は股(もも)のことで、
戦国時代、蜀の劉備が長い間馬に乗って戦場に出ないので、ももに肉がついて太ってしまったのを嘆息した故事。
【例】 「今日のために練習してきたのに、私の出番なく勝負が決まってしまい、髀肉の嘆をかこった」
183. 子とふぐりは荷にならぬ ( ことふぐりはににならぬ )
ふぐりとは、男だけがぶらさげているもので、それを荷厄介と感じないように、自分の子供も荷にならない、という意味。
184. 灰を飲み胃を洗う ( はいをのみいをあらう )
心を改めて善人となる。灰を飲んで胃の中の汚れを洗い清める、という意味。