122. 背に腹は代えられぬ ( せにはらはかえられぬ )
背中のことのために腹を代用することはできない。
目前の重大なことのためには他を犠牲にすることもやむを得ない、という意味。
【参考】 「背」は他者を、「腹」は自分を意味する。
123. 背水の陣 ( はいすいのじん )
決死の覚悟で事に当たること。失敗すれば滅びる覚悟ですること。
【例】 「甲子園行きが決まる今日の試合は、三年生にとってまさに背水の陣だ」
【類句】 河を渡り舟を焼く
124. 背の子を三年探す ( せなのこをさんねんさがす )
すぐそばにあるものを、あちこちと探し回ることのたとえ。
125. 馬の背を分ける ( うまのせをわける )
「馬の背」は山の稜線(りょうせん)のことで、稜線を境に、片方では雨が降り片方では晴れているというように、
地域的に雨や雪の降る様子が異なること。
【類句】 馬の背を越す
126. 団栗の背競べ ( どんぐりのせいくらべ )
団栗は大きさを比べ合っても大差ないことから、みな同じ程度の能力で、抜きん出て優れたものがない様子。
127. 眼光紙背に徹する ( がんこうしはいにてっする )
紙の裏まで見通す意で、読書の際、単に字句の解釈にとどまらず、その内容を深く読み取ること。
128. 鴨が葱を背負って来る ( かもがねぎをしょってくる )
鴨だけでなく葱までも、ということは、鴨鍋にするのに好適であるということ。
こんな都合のいいことはない。おあつらえ向きだ、という意味。
129. 咽を扼して背をうつ ( のどをやくしてせをうつ )
前からはのどをしめ、うしろからは背中を打つことの意で、つまり人の急所をとらえて苦しめること。
130. 夕立は馬の背を分ける ( ゆうだちはうまのせをわける )
夕立は馬の片側をぬらしても他の片側はぬらさないということから、夕立は局地的なものだというたとえ。
131. 海魚腹から川魚背から ( うみうおはらからかわうおせから )
海の魚は腹からさき、川の魚は背からさくという料理法をいったもの。
焼くときは海魚は身の面から、川魚は皮の面から焼くとよいとされている。
132. 背中に眼はない ( せなかにめはない )
後のほうは見えない。かげでこっそりやる悪事には気がつかないたとえ。
133. 顎で背中を掻くよう ( あごでせなかをかくよう )
できないことのたとえ。不可能なこと。
134. 人の背中は見えるが我が背中は見えぬ
( ひとのせなかはみえるがわがせなかはみえぬ )
人の欠点はよく見えるが、自分の欠点はわからないということ。
135. 喉元過ぎれば熱さを忘れる ( のどもとすぎればあつさをわすれる )
どんなに熱いものを飲んでも、喉を通りすぎればその熱さを忘れる。
苦しい経験も、それが過ぎ去ればけろりと忘れてしまう。
苦しい時に恩を受けても楽になると恩を忘れてしまう、という意味。
136. 咽喉の地 ( いんこうのち )
最も重要な土地。人間のからだののどくびに相当するような大切な土地という意味。
137. 美味も喉三寸 ( びみものどさんずん )
うまい物といっても喉を通るわずかな時間だけで、腹の中に入ってしまえば、うまいもまずいもない。
138. 股を刺して書を読む ( ももをさしてしょをよむ )
一心に勉学すること。眠くなると、錐で股を刺し、痛さで眠気を覚ましながら読書に励んだ、蘇秦の故事。
139. 股肱の臣 ( ここうのしん )
いちばん頼みとする部下。「股」はもも、「肱」は腕(ひじではない)。
人間のからだにたとえれば、手足に相当し、最も頼りとなるもの、という意味。
【類句】 股掌(こしょう)の臣
140. 小股取っても勝つが本 ( こまたとってもかつがほん )
何をおいても勝つことが第一であって、そのためには正しいやりかたでなくてもやむをえない。
「小股を取る」とは、股にぱっと手をかけて倒すことで、相手の油断を見すまして勝つこと。
141. 木の股から生まれる ( きのまたからうまれる )
人情を解しないもの、男女の情がわからないものを、人の子ではないと言ったことば。
【類句】 木仏金仏石仏
142. 韓信の股くぐり ( かんしんのまたくぐり )
漢の高祖を助けて天下統一の功績のあった名将の韓信は、青年時代に、町でやくざの若者から侮辱を受けたが、
よくがまんしてその股の下をくぐったという故事。大望をいだく者は腹を立てずによく忍耐する、という意味。
143. 腰に梓の弓を張る ( こしにあずさのゆみをはる )
老いの腰が弓のように曲がること。
144. 若木に腰かけるな ( わかぎにこしかけるな )
若い者や弱い者をあてにしてはいけないということ。
145. 牡丹餅で腰打つ ( ぼたもちでこしうつ )
うまい話がころがりこむこと。思いがけない幸運がめぐってくること。
【参考】 「牡丹餅食って砂糖の木に登る」ともいう。
146. 五斗米の為に腰を折る ( ごとべいのためにこしをおる )
わずかばかりの食禄(しょくろく)のために卑屈な態度をとること。
晋の陶淵明(とうえんめい)(名は潜)が、県知事となっていた時、若い後輩が上役として視察に来ることになり、礼服を着て出迎えよ、
といわれたので、淵明は日俸の五斗米(今の五升=約九リットル)のために腰を折って若僧にぺこぺこするのはいやだと言って、
即日に辞職して郷里に帰った故事。
147. 古木に手をかくるな若木に腰掛くるな
( ふるきにてをかくるなわかぎにこしかくるな )
先の見込みのないものをたよりにするな、将来のあるものには敬意を払えということ。
148. 膝とも談合 ( ひざともだんごう )
考えあぐねた時は、自分の膝でも相談相手になる、ということから、
どんなにつまらないと思える人であっても相談してみれば、それなりの益はあるものだということ。
【例】 「膝とも談合というから、彼女にも相談してみるか」
149. 膝っ子に目薬 ( ひざっこにめぐすり )
はなはだしい見当違いのこと。
150. 七重の膝を八重に折る ( ななえのひざをやえにおる )
下手に出て、できるだけ丁寧に頼んだり謝ったりすること。
【例】 「七重の膝を八重に折って頼んだが、聞き入れてもらえなかった」
151. 女の堅いは膝頭だけ ( おんなのかたいはひざがしらだけ )
女は膝頭がわれるまでは拒もうとするが、いったん膝頭が割れると、後は案外もろく陥落してしまう。
152. 豚肩豆を掩わず ( とんけんとうをおおわず )
豚の肩の肉を盛ったのが少量のため、器をおおうほどでないという意で、非常に倹約することのたとえ。
晏子が先祖をまつるのに質素であった、という故事による。
【参考】 「豆」は、木製の器(高杯)をいう。
153. 裾取って肩へつぐ ( すそとってかたへつぐ )
裾の部分を切り取って、肩の部分につぎをする。
その場限りのまにあわせで事を片づけ、根本的に解決しないことをいう。