1. 草莽の臣 ( そうもうのしん )
仕官しないで民間にいる人。在野の人。「草莽」は、草むら、民間の意味。
2. 草を打って蛇を驚かす ( くさをうってへびをおどろかす )
ある一人を懲らして、関係する他人の人を戒めること。また、何気なくなくしたことが意外な結果を招くたとえ。
3. 草を結ぶ ( くさをむすぶ )
死後に恩に報いること。春秋時代、晋の魏顆(ぎか)は魏武子(ぎぶし)の子であった。武子に妾があったが、子はなかった。
武子が病んだ時、武子は魏顆に、自分が死んだら妾を他に嫁にやれと言った。後に武子が危篤になった時、
武子はこの妾を殺して自分の葬に殉ぜしめよと言った。武士が死んだ時、魏顆は父の正気の時の遺言に従うと言って、妾を他に嫁せしめた。
その後、晋は秦と戦った。輔氏(ほし)というところで一人の老人が草を結んで、秦の勇将の杜回(とかい)を禦(ふせ)いでいた。
杜回は、老人の結んだ草につまずいて倒れ、魏顆は杜回を討ち取って秦軍を破った。
後にその老人が顆の夢に現れ、自分はあの妾の父である、君が先君の正気の時の命に従って娘を助けてくれたので、その恩に報いたのである、と語った。
4. 草履はき際で仕損じる ( ぞうりはきぎわでしそんじる )
いざ仕事を終えて、帰ろうとするまぎわに、ぼろを出す。もう一息というところで失敗するたとえ。
5. 草木皆兵 ( そうもくかいへい )
敵を恐れるあまり、全山の草木までが、みな敵兵に見えるということ。
また、軍隊の勢いの盛んなさまにもいう。
6. 草俯いて百を知る ( くさうつむいてひゃくをしる )
つつしみ深い人は出しゃばらないで、何も知らないように見えるが、そんなことはみんなよく知っているということ。
7. 草の身 ( くさのみ )
いやしい身分。数ならぬ身。
大木の下に生えている雑草などのように、自分をたとえて卑下していう語。
8. 草囹圄に満つ ( くされいごにみつ )
善政のために罪人のいないこと。天下泰平のことをいう。
罪人がいないために牢屋に草がいっぱい生えたという故事。
【参考】 「囹圄」は罪人を捕らえて閉じこめておく所。ろうや。ひとや。獄舎。
9. 商いは草の種 ( あきないはくさのたね )
商売には種類が多いことのたとえ。
10. 商売は草の種 ( しょうばいはくさのたね )
商売の種類は、考えもつかないほど多く、とても数えきれるものではない。商売の種は尽きないこと。
11. 人通りに草生えず ( ひとどおりにくさはえず )
人の往来がはげしくして、いつも踏みつけている土地には草が生えないということで、
いつも使っている道具はさびつかないという意味に使う。
12. 疾風に勁草を知る ( しっぷうにけいそうをしる )
はげしい風が吹いて、始めて強い草が見分けられることから、
困難にあって、始めて節操の固いこと、意志の強いことがわかるにたとえる。
13. なりわいは草の種 ( なりわいはくさのたね )
生活のための手段や仕事はさまざまであるがどこにでもある。
14. 繁盛の地に草生えず ( はんじょうのちにくさはえず )
繁盛しているところは、人通りがはげしいから草の生えるときがない。
いつも働いている者がぼけないことや、いつも使っている道具がさびつかないことのたとえ。
15. 伯父が甥の草を刈る ( おじがおいのくさをかる )
目上のものが目下のもののために、あれこれと奔走させられることをいう。
16. 大樹の下に美草なし ( たいじゅのもとにびそうなし )
大木のかげになっているところには、よい草は生えない。
人材の進路のふさがっているところには、有能な人は寄ってこないというたとえ。
17. 物種は盗まれず ( ものだねはぬすまれず )
遺伝はかくそうとしてもかくせないものだということ。
父親のわからない子を生んでも子供を見ればすぐ相手がわかるということ。
18. 品玉も種から ( しなだまもたねから )
手品をするにも種がいるように、何事をするにも、材料がなければ、手の下しようがないたとえ。
品玉は猿楽・田楽などで、玉を使う曲芸。転じて、手品。
19. 蒔かぬ種は生えぬ ( まかぬたねははえぬ )
何もしないでいては、よい報いは得られない。原因を作らなければ結果は生じない、という意味。
20. 楽は苦の種苦は楽の種 ( らくはくのたねくはらくのたね )
楽は次に苦を生む種であり、苦は次に楽を生む種である。
苦と楽とは相伴ってくるものであるから、楽だからといって油断するな、
苦しいからといって希望を捨てるな、という意味。
21. 苦は楽の種 ( くはらくのたね )
今のうちに苦労するのは、先にいって楽をするための種をまくようなものである。
【参考】 「楽は苦の種、苦は楽の種」と使う。
22. 権兵衛が種蒔きゃ烏がほじくる
( ごんべえがたねまきゃからすがほじくる )
百姓の権兵衛が種を蒔くと、蒔くそばから烏がほじくり出す、ということから、
人が骨折ってしたことを、すぐあとからぶちこわす、という意味。
23. 商いは草の種 ( あきないはくさのたね )
商売には種類が多いことのたとえ。
24. 商売は草の種 ( しょうばいはくさのたね )
商売の種類は、考えもつかないほど多く、とても数えきれるものではない。商売の種は尽きないこと。
25. 畠あっての芋種 ( はたけあってのいもだね )
女親がよくなくてはよい子供は生まれないということ。
どんなに種がよくても畑がなければ子はできない。
26. 形見は思いの種 ( かたみはおもいのたね )
形見の品があると、それが思い出の種となって、かえって苦しい思いをする。
27. 吝ん坊の柿の種 ( しわんぼうのかきのたね )
「吝ん坊」は、けちんぼうのことで、けちな人は、何でも持っていればよいと考えて、役に立たない柿の種さえも捨てようとはしない。
28. なりわいは草の種 ( なりわいはくさのたね )
生活のための手段や仕事はさまざまであるがどこにでもある。
29. 長口上は欠伸の種 ( ながこうじょうはあくびのたね )
長たらしい話は、聞き手を飽きさせるもとである。
30. 夫婦喧嘩は貧乏の種蒔き ( ふうふげんかはびんぼうのたねまき )
夫婦仲が悪いとその家はだんだん貧乏になるということ。
夫婦喧嘩は犬も食わぬというが、これは貧乏からくることが多い。
31. 蓼食う虫も好き好き ( たでくうむしもすきずき )
苦い蓼の葉を食う虫があるように、人の好みはさまざまで、一般には理解しがたいような多面性を持っているものである、という意味。
【参考】 There is no accounting for taste.
32. 瓜の蔓に茄子はならぬ ( うりのつるになすびはならぬ )
平凡な親から非凡な子は生まれない。血統は争えない、という意味。
【参考】 「鳶が鷹を生む」の対。
【類句】 蛙の子は蛙