35. 鶏口となる牛後となる勿れ ( けいこうとなるぎゅうごとなるなかれ )
大きな団体で、しりに付いているよりも、小さな団体でもその長となれという意味で、人に従属するよりも独立した方がよいというたとえ。
36. 目は口ほどにものを言う ( めはくちほどにものをいう )
口に出して言わなくても、目つきで気持ちを相手に伝えることができる。
37. わが口に甘ければ人の口にも甘し
( わがくちにあまければひとのくちにもあまし )
自分のほしいと思うことは、他人にもそうしてやるべきである。
38. 病は口より入り禍は口より出づ
( やまいはくちよりいりわざわいはくちよりいづ )
病は口から入り、災いは口から出る。
病気は飲食物を注意しないところから起こり、災難は言葉を慎まないところから起こる、ということから、
言葉には注意して、軽率な発言をしないようにしよう、というたとえ。
39. 禍は口から ( わざわいはくちから )
災いは自分の口から生まれるものである、ということから、自分のちょっとした不注意な発言が、
災いの種になることが多いから、物を言う時には慎重にせよ、という意味。
40. 天に口無し人を以て言わしむ
( てんにくちなしひとをもっていわしむ )
天には口がないので何も言わないが、その考えを人の口を借りて言わせる。
大衆の間に自然と広まる声こそ、天の意志の表れである、という意味。
41. 蛙は口ゆえに呑まるる ( かえるはくちゆえにのまるる )
無用なことを言ってわざわいを招くこと。
かえるは鳴くために、へびに所在を知られてのまれることから。
【類句】 雉も鳴かずば打たれまい
42. 人の口に戸は立てられぬ ( ひとのくちにとはたてられぬ )
世間の口はうるさいもので、とかくの批判を防ぐことはむずかしい。おしゃべりを封ずる手段はない、という意味。
【類句】 世間の口に戸は立てられぬ / 下種の口に戸は立てられぬ
43. 民の口を防ぐは水を防ぐよりも甚だし
( たみのくちをふせぐはみずをふせぐよりもはなはだし )
人民の言論を圧迫することは、川の氾濫(はんらん)を防ぎ止めるよりもむずかしい。
人民の憤りが爆発すると、堤防が決壊して洪水になるどころの騒ぎではない。
44. 仲人口は半分に聞け ( なこうどぐちははんぶんにきけ )
仲人さんは早く結婚話をまとめようとして、相手のよいことばかり話すので、こういう。
だから半分ぐらいに割引きして聞いて、ちょうどよいものだということ。
45. 一人口は食えぬが二人口は食える
( ひとりぐちはくえぬがふたりぐちはくえる )
同じ収入でも、二人ではどうにか生活できるが、一人ではその割に生活はできない。
【参考】 「二人口は過ごせるが一人口は過ごせぬ」ともいう。
46. 死人に口なし ( しにんにくちなし )
死んでしまった人は、言いたくても言うことが出来ない。死んだ人に無実の罪を着せるのは抗弁できないから容易である。
また、死人を証人に立てようとしてもむだである、という意味。
47. 開いた口が塞がらない ( あいたくちがふさがらない )
あまりのひどさに、あきれ返っている様子。
【例】 「あまりのひどい言い訳に、開いた口がふさがらない」
48. 開いた口へ牡丹餅 ( あいたくちへぼたもち )
運のよいときは、努力をしなくとも幸運が向こうからやってくるものである。
【類句】 棚からぼた餅
49. 耳から口 ( みみからくち )
人から聞いた事を、すぐそのまま人に告げること。受け売りすること。
【類句】 道聴塗説
50. 戸にも口がある ( とにもくちがある )
どんなにかくしておいたことでも広まってしまうということ。
51. 立派な口をきく ( りっぱなくちをきく )
それだけの実質を備えていないのに、偉そうなことを言う。
【例】 「独立起業するなどと立派な口をきいていたが、結局資金が貯まらなかったようだ」
52. 良薬は口に苦し ( りょうやくはくちににがし )
自分の身のためになる忠告は、耳に聞きづらい、というたとえ。
良い薬は苦くて飲みにくいが病気にはよく効く。
53. 雲雀の口に鳴子 ( ひばりのくちになるこ )
べらべらしゃべることのたとえ。
54. 能なしの口たたき ( のうなしのくちたたき )
はたらきのない者にかぎって、くだらぬことをしゃべるものが多いこと。
55. 目で見て口で言え ( めでみてくちでいえ )
実際に目で見て、それから口にせよというので、事柄を観察しないで、いたずらに口でいうものではない、という意味。
56. 目元千両口元万両 ( めもとせんりょうくちもとまんりょう )
美人の形容で美人は目元が美しく口元が可愛いらしい。
57. 匙の先より口の先 ( さじのさきよりくちのさき )
患者のごきげん取りはうまいが、治療の技術は下手なやぶ医者をさしていう。
58. 身知らずの口たたき ( みしらずのくちたたき )
自分の身のほども考えないで、大きなことをいうことで、高慢ちきはたいていは、身のほど知らずであるともいえる。
59. 誉人千人悪口万人 ( ほめてせんにんわるくちまんにん )
世の中には、人をほめる者は少なく、悪口をいう者が多いということ。
60. 手が明けば口が明く ( てがあけばくちがあく )
仕事がなければ、暮らしが立たない。まったくのその日暮らしであること。
61. 目をむくより口を向け ( めをむくよりくちをむけ )
怒るより、よく説得する方がよいということ。
62. 奉公人の陰口 ( ほうこうにんのかげぐち )
奉公人は陰で主人についての悪口を言うことが多いものだ、という意味。
63. 虎狼より人の口畏ろし ( とらおおかみよりひとのくちおそろし )
凶暴な虎や狼よりも、うわさや悪口を言う人間の口のほうがこわい。悪口から身を守ることの難しさをいう。
【類句】 衆口金を鑠す
64. 人喰らい馬にも合口 ( ひとくらいうまにもあいくち )
人にかみつくような荒馬にもなれた人があるように、乱暴で手におえないような人にも、よく気の合う人があるものである。
「ける馬も乗手次第」ということ。
65. 負け惜みの減らず口 ( まけおしみのへらずぐち )
負けた者がくやしがってああだこうだということ。
66. 食い物と念仏は一口ずつ ( くいものとねんぶつはひとくちずつ )
念仏はみんなが一口ずつでも唱えるように、食べ物も一口ずつでもみんなでわけて食べるのがよい、ということ。
67. 都は目恥ずかし田舎は口恥ずかし
( みやこはみはずかしいなかはくちはずかし )
都会の人は目がこえているから、はたで自分をどうみているかと心をくばり、自分を恥じるが、
地方の人は口うるさいから、なんと言っているだろうと気がひける、ということ。