1. 虫がいい ( むしがいい )
自分に好都合なようにしか考えない、ずうずうしい様子。
【例】 「寝ていて儲かるなんて、虫のいい話はない」
2. 虫酸が走る ( むしずがはしる )
不快なものに接して、嫌でたまらない感じがする。
【参考】 「虫酸」は胃から口に出てくる酸っぱい液体のこと。
【例】 「あいつの顔を見ると虫酸が走る」
3. 虫の息 ( むしのいき )
息も絶え絶えで、今にも死にそうな状態。
【例】 「彼女は事故に遭い、虫の息だ」
4. 虫がつく ( むしがつく )
草木や衣類・書画などが虫のために損なわれる、ということから、未婚の女性に好ましくない男ができる。
【例】 「悪い虫がつかないように、きちんとしつけをする」
5. 虫が好かない ( むしがすかない )
はっきりした理由はないが、何となく嫌だと思う様子。
【例】 「あの上司はどうも虫が好かない」
6. 虫が知らせる ( むしがしらせる )
何か不幸な出来事が起こるような、嫌な予感がする、という意味で、
これといった理由もなくいつもとは違った行動をとったことを、後に思い起こして言う言葉。
【例】 「今思えば虫が知らせたのか、違う道を通ったため難を免れた」
7. 虫も殺さない ( むしもころさない )
殺生なことなどとてもできないと思われるほど性質の優しい様子。
【例】 「虫も殺さないような顔をして、ひどいことをする」
8. 虫の居所が悪い ( むしのいどころがわるい )
機嫌が悪く、ちょっとしたことにでも腹を立てやすい様子。
【例】 「虫の居所が悪いときは、相手にしないほうが賢明だ」
9. 鳴く虫は捕らる ( なくむしはとらる )
何か特技があるために、かえって身を誤ることがあるたとえ。
10. 悪い虫がつく ( わるいむしがつく )
年ごろの娘に余り好ましくない男が近づいて、交際相手となる。
【例】 「父は悪い虫がつかないようにと、私を全寮制の女子校へ通わせた」
11. 小の虫を殺して大の虫を助ける
( しょうのむしをころしてだいのむしをたすける )
大きい物事を成就させるためには、やむをえず小さい物事を犠牲にすることがある。
一部分を犠牲にして全体を助けること。
【参考】 「小の虫を殺して大の虫を生かす」とも。
12. 夏の虫氷を笑う ( なつのむしこおりをわらう )
夏の虫は氷を知らないからこれを見て笑うということから、
見識が狭く、知恵の足らないものが、自分の知らないことがらをあざけり笑うことのたとえにいう。
13. 大の虫を生かして小の虫を殺せ
( だいのむしをいかしてしょうのむしをころせ )
やむをえぬ場合には、大きなものを救うためには小さなものを犠牲にせよ。
【参考】 「大を生かして小を殺せ」ともいう。
14. 蓼食う虫も好き好き ( たでくうむしもすきずき )
苦い蓼の葉を食う虫があるように、人の好みはさまざまで、一般には理解しがたいような多面性を持っているものである、という意味。
【参考】 There is no accounting for taste.
15. 一寸の虫にも五分の魂 ( いっすんのむしにもごぶのたましい )
どんなに小さく弱い者にも、それ相応の意地がある。どんなに弱そうに見え、また、どんなに身分が低く、
しいたげられている者にも、それぞれ意地や根性があるから侮ってはいけない、ということわざ。
【参考】 Even a worm will turn.
16. 柱には虫入るも鋤の柄には虫入らず
( はしらにはむしいるもすきのえにはむしいらず )
つねに働いている者は誘惑にまけないが、なまけている者は誘惑にまけるということ。
17. 獅子身中の虫 ( しししんちゅうのむし )
「獅子」はライオン。獅子の体内に寄生して恩恵を受けている虫が、かえって獅子を死に至らしめる、ということから、
内部から災いを起こすもの。味方でありながら味方を害するもの、のことをいう。
また、仏徒でありながら仏道を害するものにたとえる。
18. 飛んで火に入る夏の虫 ( とんでひにいるなつのむし )
自分から進んで危険や災難に身を投じる。
19. 青蠅白を染む ( せいようはくをしむ )
白壁いっぱいに青ばえがたかって汚すこと。小人が君子の悪口を言うのにたとえる。
また、潔白な人に罪を着せることにも言う。
【参考】 「青蠅」はあおばえ、憎むべき小人。
20. 蒼蠅驥尾に付して千里を致す
( そうようきびにふしてせんりをいたす )
アオバエが名馬の尾にとまって、千里の先まで行く。凡人が賢人や俊傑の後ろについて、功名をなすにたとえる。
【参考】 「蒼蠅」は、アオバエ。転じて君側のざん者、侫人のたとえ。
21. 頤で蠅を追う ( おとがいではえをおう )
ひどくやせおとろえて元気のないさま。
【参考】 「頤」はしたあごのこと。
22. 人の蠅を追うより自分の頭の蠅を追え
( ひとのはえをおうよりじぶんのあたまのはえをおえ )
他人のことはよく見えて気になるが、自分のこととなると同じことでも気が付かないものである。
他人の欠点をあれこれ言って世話を焼くより、自分にも同じ欠点があることに気付いて、直すことが先である、という意味。
23. 顎で蠅を追う ( あごではえをおう )
病人が手で蠅を追い払うこともできないほど衰弱しきった様子。
また、精力の消耗した人をいう。
24. 頭の上の蠅も追われぬ ( あたまのうえのはえもおわれぬ )
自分一身の始末もできないことをいう。
25. 頭の上の蠅を追え ( あたまのうえのはえをおえ )
人のおせっかいを焼くよりまず自分自身の始末をする方が大切であるということ。
【例】 「人のことはいいから、まず自分の頭の上の蠅を追え」
26. 臭いものに蠅がたかる ( くさいものにはえがたかる )
嫌な臭気のあるものには、蠅が好んでたかる、ということから、醜悪なものが同じ仲間を求めて集まる事をいう。
27. 蚤蚊の夜話蠅の朝起き ( のみかのよばなしはえのあさおき )
蚤のために夜通し眠れず、蠅がうるさくて早起きしてしまうこと。
28. 蟻集まって木揺がす ( ありあつまってきゆるがす )
アリのような弱小な虫でも、たくさん集まれば木を動かすようになる。無力な群集でも恐ろしい。
また、無力なアリが集まっても木を揺るがすことはできない。身分不相応な望みにもたとえる。
29. 蟻の穴から堤も崩れる ( ありのあなからつつみももれる )
堅固な堤も、蟻のあける小さな穴がもとでこわれる。ほんの小さな欠陥を見逃したために、
取り返しのつかない結果となる。ごくわずかな手ぬかりから大事が起こるたとえ。
30. 蟻の思いも天に届く ( ありのおもいもてんにとどく )
弱小な者でも、一念を貫いて求め続ければ、やがては望みを達成できる、という意味。
【参考】 「蟻の思いも天に昇る」ともいう。
【類句】 蚤の息も天に上がる
31. 竜の髭を蟻がねらう ( りゅうのひげをありがねらう )
弱い者が身のほども考えず、無鉄砲な勇気をふるって、強い者に立ち向かうこと。
32. 甘い物に蟻がつく ( あまいものにありがつく )
うまい話や、利益のあるところに人が寄り集まってくることのたとえ。
【類句】 蟻の甘きにつくが如し
33. 千丈の堤も蟻の一穴から
( せんじょうのつつみもありのいっけつから )
一丈は十尺、一尺は三十センチ。ほんのちょっとしたことがもとで、とんでもない大事が起こる、という意味。
【参考】 「千丈の堤もろう蟻の穴を以て潰ゆ」ともいう。
【類句】 蟻の穴から堤も崩れる
34. 呑舟の魚蕩して水を失えば則ち螻蟻に制せらる
( どんしゅうのうおとうしてみずをうしなえばすなわちろうぎにせいせらる )
舟を呑むほどの大魚も水を失えば、けらやありのような微少なものにも自由をおさえられる。
賢者も地位を失えば、つまらぬ者にもはずかしめられること。
「蕩す」は、うごかす、はね出す。「螻蟻」は、けらとありのこと。
35. 螻蛄の水渡り ( けらのみずわたり )
初めのうちは熱心にやって、途中でいやになってやめてしまう人をいう。まねをしても成しとげないこと。
ケラはよく泳ぐが少しするとやめてしまうことからいう。