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生物の「鳥類」を含む ことわざ 4

86. が葱を背負って来る ( かもがねぎをしょってくる )

 鴨だけでなく葱までも、ということは、鴨鍋にするのに好適であるということ。 こんな都合のいいことはない。おあつらえ向きだ、という意味。

87. の水掻き ( かものみずかき )

 水に浮かんだ鴨は、水面下では絶えず足で水を掻いている。 よそ目にはわからないが、苦労や心配の絶えないことをいう。

88. 献上の ( けんじょうのかも )

 着物が汚いのに足袋や履物ばかりが新しくきれいなのをののしっていう語。 江戸時代、将軍へ献上する鴨は白紙でその足を包んだからいう。

89. 逢い戻りはの味 ( あいもどりはかものあじ )

 一度仲たがいした男女の仲がもとに戻ると、前にもましてむつまじくなるという意味。

90. 隣の貧乏はの味 ( となりのびんぼうはかものあじ )

 隣の家が貧乏なのは、鴨の肉を味わうように快い。 他人の不幸は自分の優越感を満足させるものであるからである。
 【参考】 「隣の貧乏雁の味」ともいう。

91. 従兄弟同士はの味 ( いとこどうしはかものあじ )

 いとこ同士の夫婦仲は、鴨の味のようによい味。仲のむつまじいこと。

92. 鶏寒うして木に登り寒うして水に入る
  ( にわとりさむうしてきにのぼりかもさむうしてみずにいる )

 物によってはおのおの違う性質に基づいて行動するというたとえ。

93. がたてば鳩もたつ ( がんがたてばはともたつ )

 自分の能力も考えず、むやみに人の真似をすること。

94. が飛べば石亀も地団太 ( がんがとべばいしがめもじだんだ )

 雁が飛び立つと、それを見ていた石亀が、自分も空を飛ぼうと足をばたつかせる。 自分の分際を忘れて、むやみに他をまねようとする意。

95. ( がんしょ )

 手紙のこと。漢の蘇武(そぶ)が匈奴(きょうど)に使者として行き、十九年間も捕えられていた時、 雁の足に手紙を結びつけて音信を漢朝に送ったという故事による。
 【参考】 「雁信」「雁のたまずさ」「雁のおとずれ」ともいう。

96. 捕る罠に鶴 ( がんとるわなにつる )

 思いがけない幸運にあうことのたとえ。また、ありえないことにもいう。

97. に長幼の列あり ( がんにちょうようのれつあり )

 年長者や目上を尊敬しなければならないことをいう。 雁は飛ぶときに年長のものと年下のものとが順序よく並んで、礼儀を守るということから。

98. 後のが先になる ( あとのかりがさきになる )

 雁が列をなして飛んでいく時、後を飛んでいた雁が先の雁を追い越すこと。 後から送れてきたものが先のものを追い越す。油断すれば後から来るものに追い越される、という意味。 また、若い者が先に死ぬことなどについてもいう。

99. 沈魚落 ( ちんぎょらくがん )

 美人の容貌(ようぼう)がすぐれてあでやかな形容。美人のあまりの美しさに魚が沈み、雁が見とれて落ちる、という意味。 『荘子(そうじ)』斉物論の語をもじったもので、本来は、魚鳥には美人の美しさはわからず逃げてしまうということ。

100. 百まで踊り忘れず ( すずめひゃくまでおどりわすれず )

 雀は死ぬまで飛び跳ねる癖が抜けない、ということから、幼少時から身にしみ込んだ習慣は、年を取っても改めにくい。 年を取っても道楽の癖が直らないことなどにいう。

101. 一寸の糞ひらず ( すずめいっすんのくそひらず )

 スズメはスズメ相応の糞をし、タカはタカ相応の糞をする。 物にはそれぞれの規模があるということ。

102. の上の鷹猫の下の鼠
   ( すずめのうえのたかねこのしたのねずみ )

 危険が身近に迫って避けられないこと。

103. の千声鶴の一声 ( すずめのせんこえつるのひとこえ )

 つまらぬ者の千言より、すぐれた人の一言の方がずっと価値があること。 中心人物が一言いえばおさまることのたとえ。

104. の角 ( すずめのつの )

 雀に角がはえたとしても、もともとがか弱い動物であるから恐れる必要はない。 転じて、相手のどんな武器にも恐れないこと。

105. の涙 ( すずめのなみだ )

 小さい雀が流す涙程度ということから、ごくわずかなことのたとえ。
 【例】 「雀の涙ほどの給料で生活している」

106. 燕安んぞ鴻鵠の志を知らんや
   ( えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや )

 凡人などに大人物の遠大な心がわかるはずがない。 燕や雀のような小さい鳥には、鴻(おおとり)や鵠(白鳥)のような大きな鳥の心はわからない。 秦末に陳渉が言った有名な言葉。

107. 門前羅を張る ( もんぜんじゃくらをはる )

 「雀羅」は雀をとる網のことで、退官すると訪問客がなくなって門の外には雀が群がり、網を張って雀を捕らえることができる、 ということから、訪れる人がなくさびれている形容。権勢が衰えて訪ねる人もない形容のこと。
 【例】 「ブームのときにはすごい人だかりだったが、下火になると門前雀羅を張るありさまであった」

108. 勧学院のは蒙求を囀る
   ( かんがくいんのすずめはもうぎゅうをさえずる )

 勧学院に巣を作っている雀は、学生が蒙求を朗読するのに聞き慣れて、囀るのにも蒙求の文句を囀るようになる。
 【参考】 「勧学院」は、平安時代の藤原氏の子弟を教育するための学校。 『蒙求』は中国の古書で、有名な人の事跡を、唱しやすい四字句に編修したもの。
 【類句】 門前の小僧習わぬ経を読む

109. 目を掩うてを捕らう ( めをおおうてすずめをとらう )

 つまらない策を用いること。雀が逃げるのを恐れるあまり、逃げるのが見えないようにと、 自分の目を隠して捕らえようとする。
 【類句】 耳を覆って鈴を盗む

110. 孔雀は羽ゆえ人に獲らる ( くじゃくははねゆえひとにとらる )

 孔雀は羽がきれいでそれを目当てに獲られることから、長所があるばっかりにかえって不幸になるたとえ。

111. 只取り山の時鳥 ( ただとりやまのほととぎす )

 ただ取りにするという意のしゃれ。骨を折らないで物を得ること。

112. あの声で蜥蜴くらうか時鳥 ( あのこえでとかげくらうかほととぎす )

 やさしい、あわれな声で鳴くホトトギスが、毛虫やトカゲなどの悪食をするとは? 人の容貌の美しさや性行などは、見かけによらないものだということ。

113. 鳴くまで待とうホトトギス ( なくまでまとうほととぎす )

 「鳴かぬなら」という上の句に添えた、徳川家康の作と伝えられる句。忍耐と度量の大きさで、 最後の勝ちを得ることを暗示する言葉。これに対して織田信長は、「殺してしまえホトトギス」、 豊臣秀吉は、「鳴かしてみようホトトギス」と言ったと伝えられ、 戦国時代の三人の武将の性格を端的に示す言葉として引かれる。

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