61. 見ぬは極楽知らぬは仏 ( みぬはごくらくしらぬはほとけ )
見れば腹の立つことでも、見なければ心安らかにしていられる。
知れば苦しいことでも、知らなければ気にならないということ。
62. 見ぬ物清し ( みぬものきよし )
実際に見なければ、汚いのに気付かずに平気でいられるが、実際を見たら汚いのが気になってたまらない。
【参考】 「見ぬ事清し」ともいう。
63. 見ぬ世の人を友とす ( みぬよのひとをともとす )
昔の人の書き残した書物を読んで、古人を友とする楽しみを味わうこと。古典を楽しむことをいう。
64. 身の内の宝は朽つることなし ( みのうちのたからはくつることなし )
苦労して覚えた学問や技芸は、一生役にたつものだということ。
65. 実のなる木は花から知れる ( みのなるきははなからしれる )
その花を見れば、その木にどんな実がなるかがすぐわかる。
つまり、その人のなすところを見れば、その結果のよしあしがわかるということ。
66. 蓑になり笠になり ( みのになりかさになり )
お互いにかばい助けあうこと。
67. 身の程を知れ ( みのほどをしれ )
自分の力量・境遇を考えて、許されることか、許されぬことかの判断を誤らぬようにせよ。
68. 実るほど頭のさがる稲穂かな
( みのるほどあたまのさがるいなほかな )
内容の充実している人ほど謙虚である。
【参考】 「実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな)」ともいう。
69. 身は身で通る裸ん坊 ( みはみでとおるはだかんぼう )
からだ一つあれば何としても生きてゆけるという意味。
人間は本来無一物で、生まれた時も裸ならば、焼かれる時も裸であるということ。
70. 未亡人 ( みぼうじん )
夫に死なれた婦人。もともと、夫に死なれた婦人は、夫と一緒に死ぬべきであったのに、
まだ死なない者という自称であったが、今は他称となった。寡婦。後家。
71. 耳から口 ( みみからくち )
人から聞いた事を、すぐそのまま人に告げること。受け売りすること。
【類句】 道聴塗説
72. 耳に胼胝ができる ( みみにたこができる )
同じことを何度も聞かされて、もううんざりだと思うこと。
【例】 「その話は何度も聞いたから耳に胼胝ができたよ」
73. 耳を覆って鈴を盗む ( みみをおおってすずをぬすむ )
盗んだ鐘を壊そうとして、音がするので自分の耳をふさいだという話から、
自分の罪悪が人に知れないようにと思っても、すぐ人に知られるたとえのこと。
【参考】 「耳を掩いて鐘を盗む」ともいう。
【類句】 目を掩うて雀を捕らう
74. 耳を貴び目を卑しむ ( みみをたっとびめをいやしむ )
人から聞いた事は尊重するが、自分で見たことは軽んずる。
遠い昔のことを尊び、今のことを軽んずることにもいう。
【類句】 耳を信じて目を疑う
75. 見目は果報の基 ( みめはかほうのもと )
顔かたちが美しいと幸福になれるということ。
76. 見目より心 ( みめよりこころ )
人はその容貌が美しいことより、心の美しいのがよい。
77. 都は目恥ずかし田舎は口恥ずかし
( みやこはみはずかしいなかはくちはずかし )
都会の人は目がこえているから、はたで自分をどうみているかと心をくばり、自分を恥じるが、
地方の人は口うるさいから、なんと言っているだろうと気がひける、ということ。
78. 見る事は信ずる事なり ( みることはしんずることなり )
何事も一度自分の目で見れば納得がいく。
【参考】 Seeing is believing. の訳語。
79. 見るは法楽 ( みるはほうらく )
いろいろの物を見ることは慰みであり楽しみである。
「法楽」は、神楽を奏したりお経を読んだりして、神仏の心を慰め供養すること。
転じて、人の心の楽しみ・慰みの意味になる。
80. 見るは目の毒 ( みるはめのどく )
何も見なければ欲望も起らないが、見ればそれなりに刺激されて心も動く。
不必要なものは見ないに越したことはない、という意味。
【参考】 「聞くは気の毒、見るは目の毒」と続けることもある。
81. 見る物食おう ( みるものくおう )
見た物はかたっぱしからほしがる人のこと。
82. 見るもの乞食 ( みるものこじき )
見るものは何でもほしがること。いじきたないことのたとえ。
83. 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ ( みをすててこそうかぶせもあれ )
水におぼれかかった時、悪あがきをすれば、いっそう深みにはまってしまう。
自分の体を一度捨てると体も浮き、背の立つ浅瀬に出ることもできる。
危険の時には、命を捨てる覚悟があればこそ、窮境を打開して何とか活路を見いだせるのである、という意味。