1. 桃李言わざれども下自ら蹊を成す
( とうりものいわざれどもしたおのずからけいをなす )
桃や李は花も実も美しいので、招かなくとも自然に人が集まってきて、下に小道が出来上がる、ということから、
立派な人格者の周囲には、招かなくとも沢山の人が寄り集まってくるたとえ。
【参考】 「蹊」は小道の意。
2. 桃李門に満つ ( とうりもんにみつ )
英才がその門下に多く集まることをいう。
3. 桃栗三年柿八年 ( ももくりさんねんかきはちねん )
桃と栗は芽が出てから三年、柿は八年たてば実を結ぶ。
4. 桃源 ( とうげん )
俗世間を離れた別天地。理想郷。
晋の太元年中、武陵(ぶりょう)の人が川をさかのぼって水源の桃林に迷い込むと、秦の乱を避けた人々が、
世の変遷を知らず、平和に静かに暮らしていたということから。
【参考】 「武陵桃源」ともいう。
5. 驚き桃の木山椒の木 ( おどろきもものきさんしょのき )
これは驚いた、というときに使う語。
「驚き」の「き」に「木」をかけて語呂合わせした語。
6. 日陰の桃の木 ( ひかげのもものき )
細くてひょろひょろしている人のたとえ。
7. 梨の礫 ( なしのつぶて )
「梨」は「無し」にかけて語呂を合わせたもので、投げた礫は返ってこないことから、
便りを出しても返事のないこと。音沙汰のないことをいう。
【例】 「いくら手紙を出しても梨の礫だ」
8. 梨園 ( りえん )
演劇界。歌舞伎役者の社会。唐の玄宗が、宮中の梨園(梨の木を植えた庭)に音楽の教習所を設けて、
三百人の子弟を教えたことによる故事。昔の劇は即興劇で、音楽との区別がなかった。
9. 阿闍梨死して事欠けず ( あじゃりししてことかけず )
高僧が死んでも葬式に不自由はない。
高い地位にある人が死んでも、実際の仕事には影響のないこと。
10. 日陰の梨 ( ひかげのなし )
見かけは立派であるが、中身が悪いもののたとえ。見かけ倒し。
11. 蜜柑が黄色くなると医者が青くなる
( みかんがきいろくなるといしゃがあおくなる )
秋は健康な季節で病人がすくないこと。
【参考】 「柚(ゆ)が色付くと医者が青くなる」ともいう。
12. 李下に冠を正さず ( りかにかんむりをたださず )
李の木の下で冠を直すと、李の実を盗んでいるように疑われる、ということから、
他人から疑いを受けやすい行為は、しないほうがよいたとえ。
13. 毬栗もうちから破れる ( いがぐりもうちからわれる )
時期がくれば毬栗が自然に破れるように、人間も年頃になればひとりでに色気付くということ。
14. 火中の栗を拾う ( かちゅうのくりをひろう )
他人の利益のために、無理をして危険なことをする。
動機は善意でも、自分に災いがふりかかるようなことをするのは愚かである、という意味。
【参考】 イソップ物語にある、「猫が猿におだてられて、囲炉裏の中の栗を拾ってやろうとして、大やけどした」
という話に基づく言葉。
15. 青柿が熟柿を弔う ( あおがきがじゅくしをとむらう )
自分もやがて同じ悲しい運命に見舞われることに気付かずにいるたとえ。
16. 渋柿の長持ち ( しぶがきのながもち )
甘い熟柿(じゅくし)はつぶれやすいが、食えない渋柿はつぶれず長持ちする。
欠点が必ずしも不孝とは限らないとのたとえ。
悪人がかえって長く身を守るにもたとえる。
17. 貧乏柿の核沢山 ( びんぼうがきのさねたくさん )
貧乏人には子供が多いことのたとえ。渋柿は実は小さいのに中に種がたくさんある。
貧乏人も多いのは子供ばかりだということ。
18. 吝ん坊の柿の種 ( しわんぼうのかきのたね )
「吝ん坊」は、けちんぼうのことで、けちな人は、何でも持っていればよいと考えて、役に立たない柿の種さえも捨てようとはしない。
19. 柿の皮は乞食に剥かせ瓜の皮は大名に剥かせよ
( かきのかわはこじきにむかせうりのかわはだいみょうにむかせよ )
柿の皮は薄くむいたほうがよいから、乞食にむかせたほうがよく、瓜の皮は厚くむいたほうがよいから、
おおような大名にむかせるのがよい。皮のむき方の適否について言った言葉。
【参考】 「瓜の皮は大名に剥かせよ柿の皮は乞食に剥かせよ」ともいう。
【類句】 魚は大名に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ