32. 竜頭蛇尾 ( りゅうとうだび )
頭は竜で尾は蛇、ということから、始めは勢いが盛んであるが、終わりは振るわないこと。
【例】 「始めた頃は頑張っていたが、次第にやらなくなり竜頭蛇尾となった」
【類句】 頭でっかちの尻すぼみ
33. 竜の髭を蟻がねらう ( りゅうのひげをありがねらう )
弱い者が身のほども考えず、無鉄砲な勇気をふるって、強い者に立ち向かうこと。
34. 竜の髭を撫で虎の尾を踏む ( りゅうのひげをなでとらのおをふむ )
非常な危険を冒すことのたとえをいう。
35. 竜馬の躓き ( りゅうめのつまずき )
ずば抜けて優れた馬でも時には、つまずくことがあるもので、どんな賢い人にも失敗があるというたとえをいう。
36. 竜を画いて睛を点ず ( りゅうをえがいてひとみをてんず )
竜を書いて最後にひとみを書き入れて生き生きとした趣を与えることから、ちょっとした文句や物事によって、全体が引き立ち活気づくこと。
また、肝要な一点に手を加えて、物事を完全にすること。最後の仕上げのこと。唐の張僧ヨウ、という絵の名人が、
竜を画いて最後にひとみを書き入れたところ、その竜が天に上ったという「水衝記」の故事による。
37. 竜の雲を得たるがごとし ( りゅうのくもをえたるがごとし )
勢いに乗ずることをいう。
38. 竜虎相搏つ ( りゅうこあいうつ )
「竜虎」は、力量の伯仲した、天下を二分する英雄のたとえで、その世界における二大強豪が優劣を競って対決する。
【例】 「今大会の決勝は西のチャンピオンと東のチャンピオンが進出し、竜虎相搏つこととなった」
39. 登竜門 ( とうりゅうもん )
立身出世の関門のこと。
黄河の上流にある竜門は、流れが非常に急で、鯉がここを登ることができると、化して竜になるという伝説がある。
【例】 「このオーディションが、役者への登竜門となっている」
40. 画竜点睛 ( がりょうてんせい )
事を完成するために、最後に加える大切な仕上げのたとえ。
すぐれた絵師が竜を描いたが、睛(ひとみ)を入れると飛び去るといって入れなかった。
ところが人々がそれはでたらめだと言ったので、睛を入れたところ雷鳴電光と共に竜が天に上ったという故事による。
【参考】 注意として、「睛」は、ひとみで、「晴(はれ)」とは字が違う。
41. 画竜点睛を欠く ( がりょうてんせいをかく )
中国の張僧ヨウという人が竜を描いて最後にひとみをかき入れたら、その竜が天に昇って行ったという故事から、
最後の仕上げが不十分なため、せっかく作ったものの価値が下がってしまう様子。
また、物事の肝心な点が抜けてしまっている様子。
【例】 「すばらしい掛け軸ですが、保存方法が画竜点睛を欠いていますね」
42. 屠竜の技 ( とりょうのぎ )
竜を殺すわざのこと。非常に巧みであり、あるいは高尚であるが、実際の役に立たない無用の技芸のことをいう。
43. 雲は竜に従い虎は風に従う
( くもはりゅうにしたがいとらはかぜにしたがう )
性格気質を等しくし、類を同じくするものは互いに引き合うこと。
りっぱな君主のもとには立派な賢臣が出て君主を助けること。また同気相求めることをいう。
44. 虎口を逃れて竜穴に入る ( ここうをのがれてりゅうけつにいる )
一難を逃れて、さらに他の難儀にあることのたとえ。
とらのすみかを逃れたのはいいが、りゅうの穴に入りこむ。
45. 猿猴月を取る ( えんこうつきをとる )
欲のために命をすてること。
また、分に過ぎたことを望んで命をなくすることのたとえ。
猿が水に映った月を見て、これを取ろうとして枝にぶらさがったが、枝が折れて水におぼれた故事。
46. 河童の川流れ ( かっぱのかわながれ )
泳ぎのうまい河童でも、時には水に流されることもある。名人・達人も時には失敗することもあるという意味。
【類句】 猿も木から落ちる / 弘法も筆の誤り / 上手の手から水が漏る
47. 河童の屁 ( かっぱのへ )
たやすいこと。「木端(こっぱ)の火」がなまったもの。
【参考】 「屁の河童」ともいう。
48. 河童に塩を誂える ( かっぱにしおをあつらえる )
見当ちがいのことのたとえ。
塩は海水からとれるが、海の塩を川に住む河童に頼めば、運ぶうちに川水でとけてしまう。
49. 河童に水練 ( かっぱにすいれん )
泳ぎの上手な河童に泳ぎ方を教えることで、なんの足しにもならない。
不必要なことをする愚かさのたとえ。
50. 河童の寒稽古 ( かっぱのかんげいこ )
河童ははだかで水中に住んでいるから寒さは感じない。
苦痛を与えようともなんとも感じないことのたとえ。
寒稽古は寒中の水泳練習。
51. 陸に上がった河童 ( おかにあがったかっぱ )
河童は陸に上がると無力になるということから、環境が変わって、
今までのように得意な能力や技量が発揮できなくなる状態。また、そうなった人。
【類句】 陸に上がった船頭
52. 餓鬼に苧殻 ( がきにおがら )
少しもたよりにならないことのたとえ。
腹の減っている餓鬼は力がなく、苧殻はすぐ折れ砕けるものだから、餓鬼が苧殻をふりまわしても役にはたたない。
【参考】 「苧殻」は、アサの皮をはいだ茎。盂蘭盆(うらぼん)のかざりに用い、また、迎え火などに焚く。あさがら。
53. 餓鬼の花争い ( がきのはなあらそい )
餓鬼は飢えとかわきに苦しんでいるのだから、欲しいものは食物であるのに、
いりもしない花で争うことで、貧乏人が暮らしをよそにして無用な物好きをすることをいう。
54. 餓鬼の目に水見えず ( がきのめにみずみえず )
餓鬼(常に飢えと渇きに苦しむ亡者)はいつものどが渇いているので、かえってそばに水があっても気付かない。
あまり焦って求めると、かえって求めるものが見付からない、という意味。
55. 餓鬼も人数 ( がきもにんずう )
取るに足らない子供でも、人数が多くなると侮りがたい力を持つようになる。
56. 天狗の投げ算 ( てんぐのなげざん )
でたらめな計算。投げ算は、算木や銭などを投げて、表裏の出るぐあいで吉凶を占うこと。
「これは天狗の投げ算と申して、他の家にはござらぬ算でござる」という狂言にある言葉。
57. 小坊主一人に天狗八人 ( こぼうずひとりにてんぐはちにん )
ひとりの弱い者に大勢の強い者が立ち向かうことで、力の釣り合いがとれないたとえ。
58. 麒麟児 ( きりんじ )
将来、大成する期待が持てる、非常に優秀な少年。
「麒麟」は、中国で、聖人が出る時に現れるという想像上の霊獣で、
首の長いジラフとは違い、キリンビールのラベルの絵がそれである。
【参考】 「麒麟」は雄を「麒」、雌を「麟」という。
59. 麒麟の躓き ( きりんのつまずき )
千里を行く名馬も時につまずくことがあるように、どんなすぐれた英才でも、時にはしくじること失敗があるというたとえ。