88. 山高きが故に貴からず樹有るを以て貴しとなす 
  ( やまたかきがゆえにたっとからずきあるをもってたっとしとなす )
		
			 山は高いからといって貴いわけではなく、そこに木が生えているから貴いのである。
			人も見かけが立派だからといって貴いのではなく、人格・知恵など内容が伴って初めて立派だといえるのである、という意味。
		
		89. 山に躓かずして垤に躓く ( やまにつまずかずしててつにつまずく )
		
			 大事は用心するから失敗しないが、小事は注意しないから失敗するたとえ。
		
		90. 山に蛤を求む ( やまにはまぐりをもとむ )
		
			 海でとれるはまぐりを山で求めるように、方法を誤るために、決してできないことのたとえ。
		
		91. 山の芋鰻とならず ( やまのいもうなぎとならず )
		
			 世の中にはとてつもない変化などというものはない。
		
		92. 山場を迎える ( やまばをむかえる )
		
			 物事が進行し、今後の成り行きを決める上で最も重要な場面になる。
			 【例】 「志望校の二次試験に進み、入学試験も山場を迎える」
		
		93. 山山だ ( やまやまだ )
		
			 「~たいのは山山だ」の形で、そうしたい気持ちは非常に強いが、実際にはそうはいかない様子。
			 【例】 「一緒に行きたいのは山山だが、その日は都合が悪くていけない」
		
		94. 山より大きな猪は出ぬ ( やまよりおおきないのししはでぬ )
		
			 誇張するにも程度があるということ。
			大きいということをたとえるのに、山のようなというが、そこまではよいとしても、
			より大きいというのはよくない。
		
		95. 山を当てる ( やまをあてる )
		
			 鉱脈をうまく掘り当てる意から、万一の可能性をねらってやったことがうまくいく。
			 【例】 「素人が株で山を当てるのは難しい」
		
		96. 山をかける ( やまをかける )
		
			 相手の出方などに大体の見当をつけ、そこにねらいを定める。
			 【例】 「今回の試験では、山をかけたところがまったく出なかった」
			 【類句】 山を張る
		
		
		97. 闇討ちを食う ( やみうちをくう )
		
			 「闇討ち」は闇に乗じて不意打ちをする意で、相手の予想外の卑怯なやり方で不利な立場に立たされる。
			 【例】 「今回の待遇には、闇討ちを食わされた気分だ」
			 【類句】 闇討ちにあう
		
		98. 闇から牛を牽き出す ( やみからうしをひきだす )
		
			 暗くてなにが何だかはっきりしないこと。
			また性質がのろまで、ぐずぐずしていてはっきりしない人のこと。
		
		99. 闇に錦の上着 ( やみににしきのうわぎ )
		
			 だれも知る者がなく、なんの役にもたたぬことのたとえ。
		
		100. 闇に葬る ( やみにほうむる )
		
			 世間に知られては都合の悪いことをこっそり始末してしまう。
			 【例】 「役人の悪事は闇に葬られることが多い」
			 【類句】 闇から闇に葬る
		
		101. 闇夜に烏雪に鷺 ( やみよにからすゆきにさぎ )
		
			 まわりの物と区別がつかぬ物のたとえ。
			また、見分けがつかないこと。
			 【参考】 「闇の夜に烏を追う」ともいう。
		
		102. 闇夜に提灯 ( やみよにちょうちん )
		
			 ぜひと望んでいるものにうまくあうことのたとえ。
			ものごとが偶然に都合がよくなること。
			 【参考】 月夜に提灯
		 
		103. 闇夜に鉄砲 ( やみよにてっぽう )
		
			 真っ暗な夜に、目標もわからず鉄砲をぶっ放す。当たるか当たらないかおぼつかないこと。目当てのないこと。
			効果のないこと。また、用心しても危険を避けられない、という意味。
			 【参考】 「闇に鉄砲」「闇夜に礫(つぶて)」「暗闇の鉄砲」と同じ。
		
		104. 闇夜の錦 ( やみよのにしき )
		
			 暗いところでは物の色や人の顔も着物の模様もわからぬというところから、はっきり区別のつかないことをいう。
		
		105. 止むに止まれず ( やむにやまれず )
		
			 やめようとしても、どうしてもそうせずにはいられないと思う様子。
			 【例】 「ガソリン高騰により、止むに止まれず、マイカー通勤をあきらめた」
		
		
		106. 病む身より見る目 ( やむみよりみるめ )
		
			 病気の本人もつらいが、その看病をしている人は、もっとつらい思いをしている、ということをいう。
		
		107. 止むを得ない ( やむをえない )
		
			 他に方法・手段がなく、心ならずもそうする様子。
			 【例】 「予算の都合がつかなかったので、不参加になるのは止むを得ない」
		
		108. 矢も楯もたまらず ( やもたてもたまらず )
		
			 思い詰めて、じっとしていられなくなる様子。
			 【例】 「欲しい物を目の前にして、矢も楯もたまらず購入してしまった」
		
		109. 遣らずの雨 ( やらずのあめ )
		
			 来客が帰るのを引き止めるかのように降ってくる雨。
			 【例】 「ほんの挨拶だけのつもりだったのに、遣らずの雨でつい長居をしてしまった」
		
		110. 遣らずぶったくり ( やらずぶったくり )
		
			 自分ではそれに見合うことを何もせず、相手に金を払わせたり何かをさせたりするばかりである様子。
			 【例】 「部長はいつも指示するだけなんて、遣らずぶったくりもいいところだ」
		
		111. 槍玉に上げる ( やりだまにあげる )
		
			 非難・攻撃などの対象として取り上げる。
			 【例】 「今回の増税を槍玉に上げ、国民の声を聞かせる」
		
		112. 夜郎自大 ( やろうじだい )
		
			 自分の力量を知らない人間が、仲間の中で大きな顔をして、いい気になっていること。
			「夜郎」は、昔、中国の西南部にいた野蛮人。「自大」は、自分を偉いと考えること。
			漢が広大で文化が進んでいることを知らず、自分の勢力の強いことを頼みにして威張っていたことから。
		
		113. 八幡の藪知らず ( やわたのやぶしらず )
		
			 迷ってしまったり、出口がわからなくなることをいう。
			千葉県市川市の八幡にある竹藪についての伝説で、この中に入ると迷って出口がわからなくなるといわれた。
		
		114. 矢を向ける ( やをむける )
		
			 相手を攻撃する。
			 【例】 「彼の失言に対し、みんなは一斉に非難の矢を向けた」