1. 根浅ければ則ち末短く本傷るれば則ち枝枯る
( ねあさければすなわちすえみじかくもとやぶるればすなわちえだかる )
根ががっちりして強くなっていなければ枝葉も生長しない。
そして幹がいたんでは枝は枯れるのである。大台を固くせよというたとえ。
2. 寝息を窺う ( ねいきをうかがう )
よく眠っているかどうかを探ってみる意で、相手が眠っている間にこっそり何かをしようとすること。
【例】 「彼女に気付かれないように、寝息を窺いながらベッドを抜け出す」
3. 寧馨児 ( ねいけいじ )
すぐれた子供。元々「寧馨」は、晋代の俗語で「このような」という意味で、のちに人の子をほめる語となった。
【類句】 麒麟児
4. 佞言は忠に似たり ( ねいげんはちゅうににたり )
へつらいの言葉は忠義の言葉に似ているから、謝って信用されやすいものである。
【参考】 「大姦は忠に似たり」ともいう。
5. 寧日が無い ( ねいじつがない )
絶えず不安や焦燥にかられ、心の安まる日が一日もない。
【例】 「最近は地震が多く、寧日の無い日を送っている」
6. 寝返りを打つ ( ねがえりをうつ )
味方を裏切って敵側につく。
【例】 「この会社にはお世話になったが、今度寝返りを打つつもりだ」
7. 願ったり叶ったり ( ねがったりかなったり )
相手の意向が自分の希望と一致して、心から喜ぶ様子。
【例】 「自分の企画が採用され、さらに、その責任者にまで選ばれるとは願ったり叶ったりだ」
8. 願ってもない ( ねがってもない )
望んでもなかなか得られないような機会が思いがけず与えられ、非常にありがたいと思う様子。
【例】 「突然本社勤務になり、願ってもない事態に驚いた」
9. 根がなくとも花は咲く ( ねがなくともはなはさく )
事実無根であっても、うわさが乱れ飛ぶことをいう。
10. 根が生えたよう ( ねがはえたよう )
その場にじっと腰を落ち着けている様子。
【例】 「オーロラのすばらしさに、根が生えたようにいつまでも眺めていた」
11. 値が張る ( ねがはる )
品質が良かったり、得難いものであったりして、並の物より値段が高くなる。
【例】 「この魚は値が張りますが、すごくおいしいですよ」
12. 根が深い ( ねがふかい )
問題になっている事柄の背後には複雑な事情があり、容易には解決することが期待できない様子。
【例】 「今回の年金横領問題は根が深そうだ」
13. 寝首を掻く ( ねくびをかく )
人が寝ているところを襲って、その首を切り取る、という意から、
相手が油断しているすきをねらって致命的な打撃を与える。
【例】 「信用していた部下に寝首を掻かれ、経費を持ち逃げされた」
14. 猫が肥えれば鰹節がやせる ( ねこがこえればかつおぶしがやせる )
片方によいと片方に悪いということ。
15. 猫に鰹節 ( ねこにかつおぶし )
猫に鰹節の番をさせる。好きなものを近くに置くことは、過ちを起こしやすくて危険である、という意味。
【例】 「空腹時にお菓子を目の前に置くなんて、猫に鰹節のようなものだ」
16. 猫に小判 ( ねこにこばん )
猫に小判を与えても、何の感動も喜びも起こさない。
貴重なものを持っていても、持ち手によっては何の価値もないことをいう。
【類句】 豚に真珠
17. 猫にまたたび ( ねこにまたたび )
その人の大好物の意で、それをあてがえば機嫌がよくなるような場合に用いる言葉。
【参考】 「またたび」は、山中に自生するつる性の植物で、茎・葉・実ともに猫類の好物。
【例】 「猫にまたたびで、彼女にケーキをごちそうしたらすっかり機嫌が直った」
18. 猫にまたたびお女郎に小判 ( ねこにまたたびおじょろうにこばん )
猫にまたたびを、遊女に小判を与える。極めて効果があることをいう。
19. 猫の首に鈴を付ける ( ねこのくびにすずをつける )
一見名案と思われることも、それを実行できる者がいなければ意味がないということ。
上の立場の者などに言いにくいことを言わなければならない時、その役目を引き受けるのは誰かを論じる時に用いる言葉。
【参考】 「鼠が猫に鈴を付けるのを誰がやるか相談した」というイソップ物語から。
20. 猫の子一匹いない ( ねこのこいっぴきいない )
どこを探したってだれもいない様子。
【例】 「今日は大吹雪で、繁華街には猫の子一匹いない」
21. 猫の額にある物を鼠が窺う
( ねこのひたいにあるものをねずみがうかがう )
大胆不敵で、身分をかえりみないこと。また、だいそれた望みをいだくこと。
22. 猫の前の鼠 ( ねこのまえのねずみ )
逃げることもできなければ向かっていくこともできないこと。
23. 猫は三年飼っても三日で恩を忘れる
( ねこはさんねんかってもみっかでおんをわすれる )
犬は三日飼えば三年恩を忘れないというが、猫は犬とは反対に、主人の恩を感じない動物だということ。
24. 猫は虎の心を知らず ( ねこはとらのこころをしらず )
小人には大人物の心はわからないというたとえ。
25. 猫糞 ( ねこばば )
猫は糞に土をかけて隠すことから、悪い事をしておきながら、素知らぬ顔をすることをいう。また、拾った物を着服することに言う。
26. 猫を追うより皿を引け ( ねこをおうよりさらをひけ )
魚を狙う猫を追い払うより、魚をしまうことの方が大切である、ということから、物事は根本を正すことが大切である、ということ。
27. 鼠壁を忘れる壁鼠を忘れず
( ねずみかべをわすれるかべねずみをわすれず )
鼠は以前に自分がかじって穴をあけた壁のことなどは忘れているだろうが、壁の傷跡は消えない。