28. 鼠が居なくなると火事になる ( ねずみがいなくなるとかじになる )
動物が災害を予知することは古くから知られているが、鼠の例がもっとも多い。
29. 鼠が塩をなめる ( ねずみがしおをなめる )
鼠のような小動物でも少しずつこっそりと塩をなめれば、いつのまにか大量になることのたとえ。
30. 鼠が塩を引く ( ねずみがしおをひく )
きわめて少量ずつで目立たなくても、つもりつもって大量となるたとえ。
31. 鼠窮して猫を噛み人貧しうして盗みす
( ねずみきゅうしてねこをかみひとまずしうしてぬすみす )
鼠でも追い詰められると、もっとも恐い相手の猫にまで噛みつくように、人もせっぱ詰まると、やむを得ず人の物を盗むようになる。
32. 鼠捕る猫は爪かくす ( ねずみとるねこはつめかくす )
すぐれた働きのある者は、日頃やたらにそれを人に示さないことのたとえ。
平素むやみに力量を出さない人はいざというときはそれ以上を発揮するのである。
33. 鼠に引かれそう ( ねずみにひかれそう )
家の中にたった一人で、淋しい様子のたとえ。
34. 鼠社によりて貴し ( ねずみやしろによりてたっとし )
神社に巣くうねずみを、穴からいぶり出して退治しようとしても、社殿の焼けるのが心配で、手のくだしようもない。
つまり君主の威光をかさに着て、勝手なふるまいをする小人のたとえ。
35. 寝た牛に芥かくる ( ねたうしにあくたかくる )
なんの関係もなく、なんにも知らない他人に罪をなすりつけること。
36. 寝た間は仏 ( ねたまはほとけ )
人はだれでもこの世の苦悩からのがれたいと思うがそれは容易なことではない。
また、眠っている間は、善人も悪人も無心なこと。
37. 熱気にも冷えにも立たぬ ( ねっきにもひえにもたたぬ )
中途半端なこと。熱くもなければ冷たくもなくどっちつかずのこと。
38. 寝ていて転んだ例はない ( ねていてころんだためしはない )
何もしなければ、しくじることもない。
39. 寝ていて人を起こすな ( ねていてひとをおこすな )
自分が動かずにいて人を動かそうと考えてはならない。人を働かせようとするなら、まず率先してみずから範を示せ、という意味。
40. 寝ていて餅 ( ねていてもち )
思いがけないよい運にめぐりあうことのたとえ。
41. 寝ている子を起こす ( ねているこをおこす )
せっかく収まっている物事に余計な手出しをして、再び問題を起こさせる。
【類句】 泣かぬ子を泣かす / 平地に波瀾を起こす
42. 子に臥し寅に起くる ( ねにふしとらにおくる )
夜おそく寝て、早く起きること。「子」とは、子の刻のことで、現在の午後十一時から午前一時の間。
「寅」とは、寅の刻のことで、午前三時から五時の間をいう。
43. 寝耳に水 ( ねみみにみず )
安らかに寝ているところに突然、大水が出て「水だ」という叫び声が聞こえたこと、ということから、
不意の出来事に驚きあわてるたとえ。
【参考】 「寝耳」は睡眠中に耳にはいること。夢うつつに聞くこと。
【例】 「一大プロジェクトへの起用は、寝耳に水で、すぐには信じられなかった」
44. 根も無い嘘から芽が生える ( ねもないうそからめがはえる )
はじめはうそだったものが、だんだん本当になってしまうこと。
45. 寝る子は育つ ( ねるこはそだつ )
よく寝る子は丈夫に育つ、という意味。
46. 寝る子を起こす ( ねるこをおこす )
寝かしておけばうるさいこともないのに、それをわざわざ起こして、かえってうるさい思いをすることから、いらないことをして騒ぎを起こすたとえをいう。
47. 寝る間が極楽 ( ねるまがごくらく )
寝ている間ほど安楽な時はないということ。
寝ているときには心配なことも忘れているので楽しいということ。
48. 根を断って葉を枯らす ( ねをたってはをからす )
ごたごたの根源をもとから除くこと。絶やそうと思ったら根本を断ち切る必要がある。
49. 拈華微笑 ( ねんげみしょう )
心から心に伝える、以心伝心。釈迦が霊鷲せんで大衆に向かって説法をした時、黙って蓮の花を拈(ひね)って見せたところ、
八万の大衆のうち、迦葉だけがその真意を理解して微笑したので、心印を授けられた、という故事による。
【類句】 以心伝心
50. 燃犀の明 ( ねんさいのめい )
言い伝えによると、犀の角を燃やした光は、水中深くの普通は見えないところが見える、ということから、
物事を明確に見抜く才知のたとえ、のことをいう。
51. 念には念を入れよ ( ねんにはねんをいれよ )
注意した上に更に注意せよ。きわめて慎重に物事を行えということ。
52. 年年歳歳人同じからず ( ねんねんさいさいひとおなじからず )
花は毎年同じように咲くが、人の身の上は毎年変わって同じではない。人の世が変わるのに対して、自然がいつまでも変化しないことをいう。
53. 念の過ぐるは不念 ( ねんのすぐるはふねん )
なんでもかんでも念を入れすぎると、かえってまぬけたところがでるということ。
54. 念力岩をも透す ( ねんりきいわをもとおす )
昔、中国で、岩を虎だと思って矢を射たところ、矢羽根のところまで深々と刺さったという話がある。
心を込めて行えばできないことはないという意味。
【参考】 「念力岩を通す」「思う念力岩をも通す」ともいう。
【類句】 石に立つ矢