1. 苦あれば楽あり ( くあればらくあり )
苦しいことがあると、その後には楽しいこと楽なことがある。人生の苦楽は一概には言えないということ。
【参考】 「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」と使う。
2. 食い物と念仏は一口ずつ ( くいものとねんぶつはひとくちずつ )
念仏はみんなが一口ずつでも唱えるように、食べ物も一口ずつでもみんなでわけて食べるのがよい、ということ。
3. 食い物のあるのに鉄砲汁 ( くいもののあるのにてっぽうじる )
常人の食べないものを、わざとまたは好んで食べることをあざけっていう言葉。
ほかに食べる物があるのにかかわらず、物好きにも危険なふぐ汁を食べるということ。
【参考】 鉄砲汁はふぐ汁のこと。
4. 空谷の跫音 ( くうこくのきょうおん )
人のいない谷間に響く、人の足音のことをいい、さびしく暮らしている時に受ける、人の訪れ、または、うれしい便り。
【参考】 「空谷」は人のいない谷間、「跫音」は足音のこと。
5. 食うた餅より心持ち ( くうたもちよりこころもち )
人から物をもらうことは、もらった品物もありがたいが、それ以上にくれた相手の志がありがたい。
6. 食うだけなら犬でも食う ( くうだけならいぬでもくう )
ただ食って生きているというだけなら、犬だってしている。
それでは人間としての価値がない。
7. 空中楼閣 ( くうちゅうろうかく )
空中に楼閣を築くように、実現性のない物事。根拠のない架空の物事。
元々空中に見える高い建物、蜃気楼のことを言っていた。
8. 苦髪楽爪 ( くがみらくづめ )
苦労の多い時は毛髪が早く伸び、楽をしている時は爪が伸びるといわれる。
【参考】 「苦爪楽髪」ともいう。
9. 釘の裏を返す ( くぎのうらをかえす )
間違いのないようにと念に念を入れること。
「裏を返す」は、打った釘が裏側に出たところを打ち曲げて抜けぬようにすること。
10. 釘の曲りは鉄鎚で直せ ( くぎのまがりはかなづちでなおせ )
悪いくせを直すには厳格な方法でなくては直らない。
鉄釘の曲ったのは鉄鎚で打たなくては直らない。
11. 釘を打つ ( くぎをうつ )
あとで変わらないように念をおしておくこと。
あとで反対しないように強く警告しておくこと。
12. 公卿の位倒れ ( くげのくらいたおれ )
官位ばかり高くて、生活の苦しいこと。
外見はよいが内輪の苦しいことのたとえ。
13. 苦言は薬なり甘言は疾なり ( くげんはやくなりかんげんはしつなり )
忠言は聞くには好ましくないが身のためになる薬。
甘言は聞くと気持ちがよいが身を誤る病気のようなものである。
14. 愚公山を移す ( ぐこうやまをうつす )
たゆまずに努力すれば、ついには成功する、というたとえ。
昔、愚公という人が、自分の家の前にある大きな山が邪魔になるので取り除きたいと考え、
家内一同を集め、山を移動することを相談し、子から孫、さらに、その子や孫の代までかかれば、
きっと山を移すことが出来るといって働き始めた。天帝は愚公の真心に感じて山を他へ移したという故事。
15. 臭いものに蠅がたかる ( くさいものにはえがたかる )
嫌な臭気のあるものには、蠅が好んでたかる、ということから、醜悪なものが同じ仲間を求めて集まる事をいう。
16. 臭いものに蓋 ( くさいものにふた )
内々の醜いことや不正を、根本的な対策を講ずることなく、ただ外部に漏れないように一時的な間に合わせの方法で隠し防ぐこと。
17. 臭いもの身知らず ( くさいものみしらず )
自分の放ついやなにおいは、自分ではあまり感じないように、自分の欠点は自分で気付かない。
18. 草俯いて百を知る ( くさうつむいてひゃくをしる )
つつしみ深い人は出しゃばらないで、何も知らないように見えるが、そんなことはみんなよく知っているということ。
19. 臭しと知りて嗅ぐは馬鹿者 ( くさしとしりてかぐはばかもの )
危険なことがわかっているのに、あえてそれに近づくのは馬鹿者である。
しかし、人は好奇心が強くて、あぶないと知りながらのぞいて見たり、嗅いでみたりするものである。
20. 腐っても鯛 ( くさってもたい )
たとえ腐っても鯛は魚の王である、ということから、
よいものはどんなに悪くなっても、または落ちぶれても、それだけの価値は失わない、という意味。
【参考】 「驎驎も老いては駑馬に劣る」は、この反対。
21. 草の身 ( くさのみ )
いやしい身分。数ならぬ身。
大木の下に生えている雑草などのように、自分をたとえて卑下していう語。
22. 楔を以て楔を抜く ( くさびをもってくさびをぬく )
一度打ち込んだくさびは抜けないが、それを抜くには他のくさびを打ち込んでゆるめてから抜く。
なにごとも正しい方法をもってしなければできないことをいう。
23. 腐り縄に馬をつなぐ ( くさりなわにうまをつなぐ )
たよりにならないこと。あぶないこと。とうてい成功しないことなどにいう。
24. 草囹圄に満つ ( くされいごにみつ )
善政のために罪人のいないこと。天下泰平のことをいう。
罪人がいないために牢屋に草がいっぱい生えたという故事。
【参考】 「囹圄」は罪人を捕らえて閉じこめておく所。ろうや。ひとや。獄舎。
25. 腐れ縁は離れず ( くされえんははなれず )
悪縁や不純な関係の縁は、切ろうとしてもなかなか断ち切れないものである。
26. 草を打って蛇を驚かす ( くさをうってへびをおどろかす )
ある一人を懲らして、関係する他人の人を戒めること。また、何気なくなくしたことが意外な結果を招くたとえ。
27. 草を結ぶ ( くさをむすぶ )
死後に恩に報いること。春秋時代、晋の魏顆(ぎか)は魏武子(ぎぶし)の子であった。武子に妾があったが、子はなかった。
武子が病んだ時、武子は魏顆に、自分が死んだら妾を他に嫁にやれと言った。後に武子が危篤になった時、
武子はこの妾を殺して自分の葬に殉ぜしめよと言った。武士が死んだ時、魏顆は父の正気の時の遺言に従うと言って、妾を他に嫁せしめた。
その後、晋は秦と戦った。輔氏(ほし)というところで一人の老人が草を結んで、秦の勇将の杜回(とかい)を禦(ふせ)いでいた。
杜回は、老人の結んだ草につまずいて倒れ、魏顆は杜回を討ち取って秦軍を破った。
後にその老人が顆の夢に現れ、自分はあの妾の父である、君が先君の正気の時の命に従って娘を助けてくれたので、その恩に報いたのである、と語った。
28. 櫛の歯が欠けたよう ( くしのはがかけたよう )
ぎっしり並んでいるはずのものが、ところどころ欠けている様子。
【例】 「大型スーパーが完成し、店じまいする店も増え、商店街が櫛の歯が欠けたようになった」
29. 櫛の歯を引くよう ( くしのはをひくよう )
櫛の歯を作る際に、次々に引くようにして削っていくことから、同種の物事が次から次へと絶え間なく行われる様子。
【例】 「税金の無駄遣い情報が、櫛の歯を引くように全国各地から寄せられた」
30. 孔子の倒れ ( くじのたおれ )
あの偉大な孔子(こうし)でも倒れることがある、ということから、どんな偉い人でも時にはしくじることがある、という意味。
31. 籤は争をとどむ ( くじはそうをとどむ )
くじは公平であるから、くじで決定することにはあれこれという余地はない。それで争いがおさまる。
32. 孔雀は羽ゆえ人に獲らる ( くじゃくははねゆえひとにとらる )
孔雀は羽がきれいでそれを目当てに獲られることから、長所があるばっかりにかえって不幸になるたとえ。