22. 口と腹 ( くちとはら )
口で言うことと、腹で思っていることは別である。
23. 空き腹にまずい物なし ( すきはらにまずいものなし )
空腹の時には、うまいまずいを言わず何でも食べられる、という意味。
【参考】 Hunger is the best sauce.
24. 背に腹は代えられぬ ( せにはらはかえられぬ )
背中のことのために腹を代用することはできない。
目前の重大なことのためには他を犠牲にすることもやむを得ない、という意味。
【参考】 「背」は他者を、「腹」は自分を意味する。
25. 狸の腹鼓 ( たぬきのはらづつみ )
月の夜に、たぬきが腹をたたいて楽しむという言い伝え。たぬきばやし。
26. 恩の腹は切らねど情けの腹は切る
( おんのはらはきらねどなさけのはらはきる )
恩を返すために死ぬ人はいないが、人情のために死ぬ人はいる。
【参考】 「恩の腹は切らねど義理の腹は切る」ともいう。
27. 海魚腹から川魚背から ( うみうおはらからかわうおせから )
海の魚は腹からさき、川の魚は背からさくという料理法をいったもの。
焼くときは海魚は身の面から、川魚は皮の面から焼くとよいとされている。
28. 大食腹に満つれば学問腹に入らず
( たいしょくはらにみつればがくもんはらにはいらず )
食べ過ぎると、頭の働きがにぶくなり、学問しても身につかない。
29. 詰め腹を切らせる ( つめばらをきらせる )
「詰め腹」は、やむを得ずする切腹のことで、責任をとるように強制し、辞職させることをいう。
【例】 「課長に詰め腹を切らせて、不祥事を収めることにした」
30. 向かっ腹を立てる ( むかっぱらをたてる )
それほどの理由もないのに、腹を立て、だれにともなく怒りをぶつけること。
【例】 「タンスの角に足をぶつけ、向かっ腹を立てた」
31. 杓子で腹を切る ( しゃくしではらをきる )
とてもできないことのたとえ。また、人に見せるための形式だけのことをするのにいう。
【参考】 「杓子腹」「すりこぎで腹切る」ともいう。
32. 切匙で腹を切る ( せっかいではらをきる )
不可能なことのたとえ。「切匙」は、すりばちの内側などについたものを、すりおとす道具で、しゃもじをたてに半分に折ったような形のもの。
こんなもので腹が切れるはずがない。
33. 長鞭馬腹に及ばず ( ちょうべんばふくにおよばず )
強大な勢力でも及ばないところがあるたとえ。
どんな長いむちでも、馬の腹までは届かない、という意味。
34. 連木で腹を切る ( れんぎではらをきる )
実現不可能なことのたとえ。
【参考】 「連木」はすりこぎのこと。
35. 言わねば腹脹る ( いわねばはらふくる )
言いたいことを言わずにいると、不満が腹の中にたまるものである。
36. 世帯仏法腹念仏 ( せたいぶっぽうはらねんぶつ )
仏法も念仏も、要するに僧侶が生活のためにするものだとの意。
【参考】 「世帯」は、所帯、暮らし。
37. 痛くもない腹を探られる ( いたくもないはらをさぐられる )
腹痛でもないのに、痛い箇所はここかあそこかと探られる。身に覚えの無いのに疑われること。
38. 思い置きは腹の病 ( おもいおきははらのやまい )
心配となることや取越し苦労などは消化不良などの病気の原因になるから、
早く取り除くほうがよいということ。
39. 口に密あり腹に剣あり ( くちにみつありはらにけんあり )
見かけは柔和そうであるが、内心は非常に陰険な人のたとえ。
口では密のような甘い言葉を言っているが、腹の中には剣のような心を持っている。
口先ではうまいことを言いながら、心の中では人を害するたくらみを持つ、という意味。
【参考】 唐の玄宗(げんそう)の宰相、李林甫(りりんぽ)を評した語。
【類句】 笑中に刀あり
40. 思うこと言わねば腹ふくる ( おもうこといわねばはらふくる )
言いたいことを言わないで我慢していると、何か腹に物がつかえているようで気持ちが悪いものである。
【参考】 『大鏡』の序に、「おぼしきこといわぬは、げにぞはらふくるる心地しける」、
『徒然草』第十九段に「覚しきこと言わぬは腹ふくるるわざなれば」とある。
41. 赤心を推して人の腹中に置く
( せきしんをようしてひとのふくちゅうにおく )
人に接するのに、少しの隔てもなく真心をもってすること。
42. げらげら笑いのどん腹立て ( げらげらわらいのどんばらだて )
感情の変化のはげしい者、感情の起伏の多い者のことをいう。