1. 手書きあれども文書きなし ( てかきあれどもふみかきなし )
上手に文字を書く人は多いが、巧みに文章を書く人は少ない、という意味。
2. 手鍋下げても ( てなべさげても )
好きな男と夫婦になれるなら、自分で煮炊きをするような貧乏暮らしにも甘んじるという態度。
【例】 「私は手鍋下げてもなんていう女性を捜している」
3. 手に汗を握る ( てにあせをにぎる )
緊張した事態で、一体どうなるのかと、はらはらして見ている様子。
【参考】 「手に汗握る」とも。
【例】 「今日のこの試合は、手に汗を握るほどの接戦だ」
4. 手のない将棋は負け将棋 ( てのないしょうぎはまけしょうぎ )
攻めるにも守るにも指す手が全くない将棋は負けるのが当然である。
方策のないところに成算はない、という意味。
5. 手足を擂粉木にする ( てあしをすりこぎにする )
手足をすり減らすほどに、一生懸命に奔走することの形容。
6. 手が明けば口が明く ( てがあけばくちがあく )
仕事がなければ、暮らしが立たない。まったくのその日暮らしであること。
7. 手がはいれば足もはいる ( てがはいればあしもはいる )
一度気を許せば、だんだん深入りされて、ついにはすべて侵されてしまうたとえ。
8. 手功より目功 ( てこうよりめこう )
手先の熟練よりも経験によって鑑識眼を養うほうがいいということ。
9. 手鍋を提げる ( てなべをさげる )
召使いもおかず、自ら煮炊きをするほどの、質素な、また貧しい生活をする。
10. 手習いは坂に車を押す如し ( てならいはさかにくるまをおすごとし )
少しでも油断をすると、すぐ後戻りをするから、絶えず努めなければならないということ。
11. 手の内に丸め込む ( てのうちにまるめこむ )
たくみに籠絡(ろうらく)して、自分の思うとおりに扱う。
12. 手の舞い足の踏む所を知らず
( てのまいあしのふむところをしらず )
こおどりして喜ぶさま。無我夢中になって喜ぶようす。
13. 手は有れば有りしたがい ( てはあればありしたがい )
人手はどんなに多くとも、多すぎるということはない。多ければ多いほどよい。
14. 手を拱く ( てをこまぬく )
「拱く」はもと、敬礼のために左右の手の指を胸の前で組み合わせる意で、手をつかねる。傍観する。
転じて、何も手出しをしないで見ている意。
【参考】 「こまぬく」は「こまねく」とも。
15. 手を袖にす ( てをそでにす )
はたから何もしない。わきから手出しをしないこと。
16. 手を翻せば雲となり手を覆せば雨となる
( てをひるがえせばくもとなりてをくつがえせばあめとなる )
人情の変わりやすく、頼みがたいことのたとえ。また、軽々しい友だちのつきあい。
手のひらをあおむけると雲がわき、手のひらをうつむけると雨が降る意で、少しのことですぐに心が変わってしまう、という意味。
17. 手足を措く所なし ( しゅそくをおくところなし )
安心していられない。気を許して手や足を置くところもない状態である、という意味。
18. 上手の手から水が漏れる ( じょうずのてからみずがもれる )
どんなに上手な人でも、時には失敗することがある。
普段は全く危なげなく何かをしている人が、たまたま失敗したときに言う言葉。
【例】 「毎月恒例の行事で、上手の手から水が漏れて、大損害を出してしまった」
19. 得手に鼻突く ( えてにはなつく )
もっとも得意のことは鼻であしらってするので、かえって失敗すること。
得意のことには注意を払わないので失敗すること。
20. 得手に帆を揚ぐ ( えてにほをあぐ )
自分の得意とする領域に、勇躍して進む。待っていた好機が到来した時、逃さずにこれをつかんで得意になり、
調子にのって事を行う、という意。
【例】 「得手に帆を揚げて、業界を躍進している」
【類句】 追手に帆を上げる
21. 片手で錐は揉まれぬ ( かたてできりはもまれぬ )
心をあわせて協力しなければ、物事はできないことのたとえ。
22. 先手は万手 ( せんてはまんて )
機先を制することが、どんな手よりも効果があるということ。出鼻をくじけば天狗も降参する。
23. 袖手傍観 ( しゅうしゅぼうかん )
ある状態を目前にして、何の手出しもしないで、ただ成り行きにまかせて見守っていること。
24. 国手 ( こくしゅ )
すぐれた医者。名医。転じて医師の敬称。また、芸術・技芸などの名人にもいう。
25. 両手に花 ( りょうてにはな )
二つの価値のあるものを一人占めにすること。多く、同時には得がたいものを得た場合に言う。
【例】 「彼は会社で昇進し、娘も生まれ、両手に花で喜んでいる」
26. 石で手を詰める ( いしでてをつめる )
進退きわまること。絶体絶命。
貧乏のはなはだしいことにもいう。
27. 有る手からこぼれる ( あるてからこぼれる )
無い袖は振れないが、持っている手からは自然にこぼれる。
金持ちは施す気はなくても、なにかの恩恵を与えているものだ。おこぼれがあるもの。
28. 打つ手に好き手なし ( うつてにすきてなし )
人を打つということは、どんな場合でもよい方法ではない。
どんな場合でも暴力はいけない。
29. 一挙手一投足 ( いっきょしゅいっとうそく )
わずかの骨折り。少しの労力。一度手を挙げ、一度足を動かす、という意味。
30. 濡れ手に粟 ( ぬれてにあわ )
濡れた手で粟を掴むと、粟粒がくっついてたくさん掴めることから、苦労しないで多くの利益を得ることをいう。
【参考】 「濡れ手で粟の掴み取り」ともいう。
【類句】 一攫千金