69. 鰯で精進落ち ( いわしでしょうじんおち )
鰯のようなつまらない魚を食べて、せっかく精進してきたのをむだにする。
つまらないことで禁戒を破る、というたとえ。
70. 鰯網で鯨を捕る ( いわしあみでくじらをとる )
思いがけない幸運をつかむこと。
鰯を捕る網に大きな鯨がかかったという意味。
【類句】 兎の罠に狐がかかる
71. 鰯の頭も信心から ( いわしのあたまもしんじんから )
信じて拝めば、鰯のようにつまらないものでも、ひどくありがたく思われる、という意味。
【参考】 節分の夜、鰯の頭をひいらぎの枝にさして門口につけ、悪鬼を追い払うまじないにする風習がある。
72. 干潟の鰯 ( ひがたのいわし )
手も足も出ないこと。
潮が引いて水のないところにいる鰯のことで、どうにもならない、自滅を待つばかりの心細い運命のたとえ。
73. 鯛の尾より鰯の頭 ( たいのおよりいわしのかしら )
大きい団体で、人のしりにつき従うよりも、小さい団体でもよいから、その長になれとのたとえ。
74. うちの鯛より隣の鰯 ( うちのたいよりとなりのいわし )
自分の持っているものより、他人の持っているものの方がよいものに見え、うらやましく思う、ということ。
75. 蛤で海をかえる ( はまぐりでうみをかえる )
蛤の貝殻で海の水をかえるということで、てんで問題にならないこと。
76. 畑に蛤 ( はたけにはまぐり )
畑を掘って蛤を探したとてあるはずがない。ない事や見当違いのことをいう。
77. 山に蛤を求む ( やまにはまぐりをもとむ )
海でとれるはまぐりを山で求めるように、方法を誤るために、決してできないことのたとえ。
78. その手は桑名の焼き蛤 ( そのてはくわなのやきはまぐり )
「その手は食わない」という語を三重県桑名市の名物焼き蛤にかけたしゃれ。
79. 鯖の生き腐れ ( さばのいきぐされ )
鯖は生きのいい見かけの状態のままで腐っている。
鯖を食べてあたることが多いので注意せよということ。
80. 鯖を読む ( さばをよむ )
利益を得るために、実際の数よりもたくさん有るように言う。単に、数をごまかして言う意にも用いる。
【参考】 鯖を数える時には、腐りやすいので早口で急いで数えるために、数を飛ばすことが多いことによると言われる。
81. 鰻登り ( うなぎのぼり )
鰻が身をくねらせて、まっすぐに水中をのぼることから、物価や温度が急速に上がることや、
人の立身出世の速いことなどにいう語。
82. 山の芋鰻とならず ( やまのいもうなぎとならず )
世の中にはとてつもない変化などというものはない。
83. 貝殻で海を測る ( かいがらでうみをはかる )
貝殻で海水をくみ出して海水の量を量ることはできない。
知識が浅く見聞のせまい者が大問題を論議することのたとえ。
小知をもって大事をはかること。
84. 嬰児の貝を以て巨海を測る
( えいじのかいをもってきょかいをはかる )
とうていできないことのたとえ。
幼児が海で大海の水をくみ出すことは、あまり隔たりすぎて比較にならないこと。
【参考】 平家物語にある言葉。
85. めだかも魚のうち ( めだかもととのうち )
弱く小さくつまらないような物でも、仲間にはちがいないということ。
【参考】 「雑魚の魚交わり」ともいう。
86. 魚の真似する目高 ( ととのまねするめだか )
力量のない者が力量のある者の真似をすること。
87. 猫に鰹節 ( ねこにかつおぶし )
猫に鰹節の番をさせる。好きなものを近くに置くことは、過ちを起こしやすくて危険である、という意味。
【例】 「空腹時にお菓子を目の前に置くなんて、猫に鰹節のようなものだ」
88. 猫が肥えれば鰹節がやせる ( ねこがこえればかつおぶしがやせる )
片方によいと片方に悪いということ。
89. 蝦踊れども川を出でず ( えびおどれどもかわをいでず )
エビはどんなにはねても一生川から出られない。
物にはそれぞれ天が与えた運命が定まっているということ。
90. 蝦で鯛を釣る ( えびでたいをつる )
わずかな元手で大きな利益を得る。略して、「えびたい」ともいう。
【例】 「彼女に花を贈ったら付き合うことが出来た、海老で鯛を釣った気分だ」
【参考】 「えび」の部分は「海老」「エビ」とも書く。
91. 蛸は身を食う ( たこはみをくう )
蛸は空腹のとき自分の足を食べるといわれる。収入が無くて自分の財産を食いつぶすことにたとえる。
92. 茹で蛸のよう ( ゆでだこのよう )
酒に酔ったり長湯をしたりして、顔や体がすっかり赤くなる様子。
【例】 「いい温泉だからといってずっと入っていると、茹で蛸のようになるぞ」
93. 秋刀魚が出ると按摩が引っ込む
( さんまがでるとあんまがひっこむ )
秋になると、みんな健康になるということ。
さんまが出るころになると、気候や栄養がよくなって、あんまにかかる人が少なくなることから。
94. 水母の風向かい ( くらげのかぜむかい )
じたばたしても無駄なことのたとえ。
水面に浮いているようなくらげが、風上に向かって進もうとしてもできるわけがない。効果なし。
95. 烏賊の甲より年の劫 ( いかのこうよりとしのこう )
イカの甲は役に立たないが、年とった人の経験は大切なものだ。
老人の忠言を軽んじてはいけない。
【類句】 亀の甲より年の劫
96. 泥鰌の地団駄 ( どじょうのじだんだ )
弱い者が身のほどわきまえず、強い者に立ち向かうことで、どうにもならないことのたとえ。
97. 鮟鱇の待ち喰い ( あんこうのまちぐい )
少しも働かないで、じっとしていてごちそうだけありつくこと。
アンコウは進んでえさを求めようとせず、じっとして小魚がそばに来るのを待って捕らえて食べる。
98. 左ひらめ右かれい ( ひだりひらめみぎかれい )
ひらめとかれいはよく似ていても、体の左側に眼がついているのがひらめで、右についているのがかれいだということ。
99. 磯の鮑の片思い ( いそのあわびのかたおもい )
鮑は片貝(貝殻が一枚)で、ただ磯にへばり着いているだけである。
そのように、こちらが先方を恋するだけで、相手は何とも思っていないことのたとえ。
【参考】 「鮑の片思い」「貝の片思い」ともいう。
100. 瓢箪鯰 ( ひょうたんなまず )
丸い瓢箪で鯰をつかまえようとすることから、のらりくらりしてつかまえどころがないたとえ。
また、さっぱり要領を得ないことをいう。
【参考】 「瓢箪で鯰を押さえる」ともいう。
101. 鰯網で鯨を捕る ( いわしあみでくじらをとる )
思いがけない幸運をつかむこと。
鰯を捕る網に大きな鯨がかかったという意味。
【類句】 兎の罠に狐がかかる
102. 鯛なくば狗母魚 ( たいなくばえそ )
タイがなければエソで間に合わせる。つまり、なければ代用品でがまんするより仕方がないの意。
エソは体長約40センチ、細くて、上等のかまぼこ材料。しかしタイは魚の王で、エソの及ぶところではない。
103. 麦の穂がでたら浅蜊を食うな ( むぎのほがでたらあさりをくうな )
夏のあさりは中毒しやすいから注意せよということ。
104. いつも柳の下にどじょうはおらぬ
( いつもやなぎのしたにどじょうはおらぬ )
一度そこにいたからといって、いつも同じ柳の木の下にどじょうがいるわけではない。
そのことで一度味を占めたからといって、それをすればいつも同じようなうまいことがあるとは限らない、という意味。