22. 九牛が一毛 ( きゅうぎゅうがいちもう )
九頭の牛の毛の中の一本ということから、きわめて多くの中のごく小さい一部分をいうたとえ。
取るに足らぬ小さなこと。ものの数ではないこと。
23. 汗牛充棟 ( かんぎゅうじゅうとう )
蔵書が非常に多いたとえ。車に積めば、それを引く牛が汗を出すほどであり、
家の中に積み上げれば、棟木につかえるほどである、という意味。
24. 遅牛も淀早牛も淀 ( おそうしもよどはやうしもよど )
遅い早いの違いはあっても、行き着くところは同じである。
行く先が同じなら結果も同じであるというたとえ。
25. 馬を牛に乗り換える ( うまをうしにのりかえる )
速い馬を遅い牛に乗り換える。すぐれたほうを捨てて劣ったほうを採る意。
【参考】 「牛を馬に乗り換える」の対。
26. 寝た牛に芥かくる ( ねたうしにあくたかくる )
なんの関係もなく、なんにも知らない他人に罪をなすりつけること。
27. 風馬牛 ( ふうばぎゅう )
互いに無関係なこと。「風」はさかりがつく、という意。「風する馬牛も相及ばず」で、さかりがついた雌雄の牛馬は、
遠く離れていても誘い合うが、それも出来ないほど、土地が遠く離れていること。
28. 蚊虻牛羊を走らす ( ぶんぼうぎゅうようをはしらす )
蚊やあぶのような小さな虫が、牛や羊のような大きな動物にたかって、牛や羊がかゆくて走る出すように、弱小のものが強大なものを動かすたとえをいう。
小さな物でも油断をしていると、それが禍となり大害を引き起こすことがあるというたとえ。
29. 伏せる牛に芥 ( ふせるうしにあくた )
ねている牛にごみをかけるように、弱い者や死んでしまった者に、これ幸いと罪をなすりつけること。
30. 商いは牛の涎 ( あきないはうしのよだれ )
商売をするには牛の涎のようでなければならない。
一時に大もうけしようとせず、細く長く、わずかな利益を積み重ねて財をなすべきだ、という意味。
31. 画工闘牛の尾を誤って牧童に笑われる
( がこうとうぎゅうのおをあやまってぼくどうにわらわれる )
実物のよく観察した上で描かないと、とんだ失敗をするということで、
無学な者でも専門の事には詳しい知識を持っているから、教えを受けるがよい、という意味。
牧童が闘牛の絵を見て大笑いした。牛が戦うときには力が角に入っていて、尾は股の間に曲げているものなのに、
この牛は尾を上げている、こんなばかげた闘牛はないといった故事による。
32. 暗闇から牛を牽き出す ( くらやみからうしをひきだす )
暗くて何が何だかよくわからないことをいう。
また、鈍重ではっきりしない人のたとえ。
【類句】 暗がりから牛
33. 羊を以て牛に易う ( ひつじをもってうしにかう )
小さな物を大きな物のかわりにすること。
またいくらかは違うが本質には変わりがなく、大体において同じだということ。
34. 剣を売りて牛を買う ( けんをうりてうしをかう )
武事をやめて農業に力を尽くすこと。
キョウ隊が渤海の太守になって赴任して行ってみると、土地の人はぜいたくで農業をきらっていたので、
自分から田畑を作ってみせて農業をすすめた。刀剣を持っている者が多かったので剣を売って牛を買い、
刀を売って犢(こうし・子牛)を買わせたので、みな富貴となった故事。
35. 暗がりから牛 ( くらがりからうし )
物事の形や色の区別がはっきりしないさま。また、動作がのろく、はきはきしないさま。
【参考】 「暗がりの牛」「暗闇から牛を引き出す」ともいう。
36. 鶏口となる牛後となる勿れ ( けいこうとなるぎゅうごとなるなかれ )
大きな団体で、しりに付いているよりも、小さな団体でもその長となれという意味で、人に従属するよりも独立した方がよいというたとえ。
37. 角を矯めて牛を殺す ( つのをためてうしをころす )
角の曲りを直そうとして、牛を殺してしまうようなことから、少しの欠点を直そうとして、かえってそのものをダメにしてしまうことのたとえ。
つまらぬ末端の事柄にこだわって肝心な根本をそこなうこと。
38. ずるい事は牛でもする ( ずるいことはうしでもする )
ものぐさな人を叱ることばで、せっせと仕事をしなさいということ。
39. 女賢しくして牛売りそこなう ( おんなさかしくしてうしうりそこなう )
売り手の女がなまじ利口だと、かえって牛を売りそこなう、女は賢くても、
広い視野や大局的な判断に欠けることが多いから、とかく失敗しやすい、という意味。
【類句】 女の知恵は後ろへまわる
40. 鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん
( にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん )
鶏を料理するのに、どうして牛を料理する大きな包丁などを用いる必要があろうか。
小さなことを処理するには大がかりな方法を用いる必要はない、という意味。
41. 年寄りの言う事と牛の尻繋は外れない
( としよりのいうこととうしのしりがいははずれない )
経験を多く積んだ人の知識やその考え方は尊いもので、正しいといわねばならない。
しりがいは牛馬の車との固定具で、なかなか外れないようになっている。
42. 早い馬も千里のろい牛も千里
( はやいうまもせんりのろいうしもせんり )
ものごとはあわててもしかたがないということ。