1. 無為の治 ( むいのち )
自然のままにまかせ、とくに何事もなくても、よく治まること。
つまり、聖人の徳の大きいことをいう。
2. 向かう所敵なし ( むかうところてきなし )
まともに立ち向かえる者がいないほど強く、片っ端からやっつけていく様子。
【例】 「今大会で4連覇達成。まさに向かう所敵なしだ」
3. 昔千里も今一里 ( むかしせんりもいまいちり )
すぐれた人でも年をとればそれだけ働きがにぶくなり、なんら凡人とかわりがないということ。
4. 昔取った杵柄 ( むかしとったきねづか )
昔鍛えた得意の腕前の意味。
【例】 「昔取った杵柄で、スキーの腕前は自慢できる」
5. 昔の事を言えば鬼が笑う ( むかしのことをいえばおにがわらう )
もう遠い昔、過去のことを言うと鬼でも笑うということで、もうとりかえしのできないこと。
【参考】 「来年のことをいえば鬼が笑う」は反対の意味。
6. 昔の剣今の菜刀 ( むかしのつるぎいまのながたな )
昔は立派な剣だったものが、今では台所の片隅においてある菜切り包丁にしか用いられないということ。
そこから、古くなれば時世におくれること。また、盛んなときにすぐれた働きをした人でも、
年を取れば、だれも相手にしてくれなくなること。
7. 昔は今の鏡 ( むかしはいまのかがみ )
歴史を研究することは将来の参考になる。
将来を経験することはできないから、過去を研究することによって将来の見通しを立てることができる、という意味。
8. 昔は昔今は今 ( むかしはむかしいまはいま )
昔と今とは時世が違うから、今は今の時点でものを考えるべきである、ということ。
9. 向かっ腹を立てる ( むかっぱらをたてる )
それほどの理由もないのに、腹を立て、だれにともなく怒りをぶつけること。
【例】 「タンスの角に足をぶつけ、向かっ腹を立てた」
10. 蜈蚣のあだ転び ( むかでのあだころび )
むかでは足が沢山あるから、見た目はなかなか倒れそうもないようだが、
それでもときには倒れることがあるということで、どんなに安全のように見えても、また慣れていることでも、
しくじることがあるということのたとえ。
11. 無冠の帝王 ( むかんのていおう )
特別な地位はないが実力のある者。特に、権力に迎合しないというところから、ジャーナリストが自負して言う言葉。
12. 無何有の郷 ( むがゆうのさと )
自然なままの理想郷。何もなく果てしなく広々とした所のことをいう。
【参考】 「むかうのさと」とも読む。
13. 向きになる ( むきになる )
ちょっとしたことでも軽く考えずに、本気になってそれに立ち向かう。
【例】 「対戦ゲームで負け続けると、彼女は向きになっていつまでも止めようとしなくなる」
14. 麦飯で鯉を釣る ( むぎいいでこいをつる )
ちょっとの元手で大もうけをすることのたとえ。
【類句】 蝦で鯛を釣る
15. 麦と姑は踏むがよい ( むぎとしゅうとめはふむがよい )
麦をよく育てるためには踏むほうがよいが、それと同じように姑にもあまり下手にばかりでないで、
時には強気にものを言うことのほうがよいということ。
16. 麦の穂がでたら浅蜊を食うな ( むぎのほがでたらあさりをくうな )
夏のあさりは中毒しやすいから注意せよということ。
17. 麦は昼寝して刈れ ( むぎはひるねしてかれ )
麦は刈ってから雨にあわせると収穫量が低下するのに、その刈入時はちょうど梅雨期にあたっているので雨の日が多い。
それで早くあわてて刈らないで、昼寝でもしてからゆっくり落ちついて、天気の様子でも見きわめながら刈るほうがよいというたとえ。
18. 麦飯に食傷なし ( むぎめしにしょくしょうなし )
麦飯は米の飯より口あたりが悪くておいしくないとされているが、
消化がよく腹にもたれないのでよいということ。
19. 椋の木の下にて榎の実を拾う
( むくのきのしたにてえのきのみをひろう )
あくまで自分のいいだしたことを通そうとすること。
20. 無芸大食 ( むげいたいしょく )
大飯を食べるほかに何の芸もないことをいう。
21. 無下にする ( むげにする )
相手の好意などを、自分の都合で無視すること。
【例】 「せっかくのお誘いを無下にするわけにもいかないので、参加することにした」
22. 向こう岸の花は美しい ( むこうぎしのはなはうつくしい )
よその庭に咲いている花は美しく見えるものである。
23. 向こうに回す ( むこうにまわす )
相手にしてやり合う。
【例】 「強敵を向こうに回しながらも、なんとか頑張った」