61. 誉める子の寝ぐそ ( ほめるこのねぐそ )
ほめられたときにしくじること。
62. 褒める人に買ったためしなし ( ほめるひとにかったためしなし )
品物を見て、これは良いとか安いとかいってほめる人は、かえってその品物を買わないものである。
63. 誉める人には油断するな ( ほめるひとにはゆだんするな )
必要以上にほめそやす人は、何か下心があるに違いないから警戒せねばならない。
64. 吠ゆる犬は打たるる ( ほゆるいぬはうたるる )
じゃれつく犬は打たれないが、ほえつく犬は打たれる。
つまり人間でも、したってくる者はかわいがられるが、手向かう者はにくまれるということ。
65. 洞ヶ峠をきめる ( ほらがとうげをきめる )
有利な方につこうと、日和見的な態度をとって、形勢をうかがうこと。
【参考】 「洞ヶ峠」は京都府と大阪府との境にある峠。
【例】 「どっちが有利かわからないからといって、洞ヶ峠を決め込むなんてずるいな」
66. 法螺と喇叭は大きく吹け ( ほらとらっぱはおおきくふけ )
ほらを吹くなら、とてつもない大きなほらを吹くがよい。
67. 蒲柳の質 ( ほりゅうのしつ )
か弱い体質。からだが弱いこと。「蒲柳」は川柳(かわやなぎ)。松や柏(このてがしわ)に比して弱くしなやかであるところから。
【参考】 『晋書(しんじょ)』顧悦之(こえつし)伝には「蒲柳の常質」とある。
68. 惚れた腫れたは当座のうち ( ほれたはれたはとうざのうち )
惚れたとか惚れられたとかいうことを言っているのは、夫婦になりたての間だけである。
間もなく所帯やつれがして、なりふり構わないようになったり、無味乾燥な生活に陥るようになるものである、という意味。
69. 惚れた病に薬なし ( ほれたやまいにくすりなし )
恋愛は一種の病気だといってもよいが、こればかりは治す薬がない。
70. 惚れた欲目 ( ほれたよくめ )
惚れた者は相手の欠点までが良く見えてしまうこと。
71. 惚れて通えば千里も一里 ( ほれてかよえばせんりもいちり )
恋人に逢いたい一心は、道の遠いことなどを問題にしない、ということから、
好きですることは、少しも苦労に感じない、というたとえ。
72. ぼろ屋に貧乏なし ( ぼろやにびんぼうなし )
ぼろを売買している人はきたないようだが、実際はいい暮らしをしている。
73. 盆と正月が一緒に来たよう ( ぼんとしょうがつがいっしょにきたよう )
盆と正月は古来日本人の生活の中で最も重要な行事で、何かと忙しく、また楽しい時期であることから、非常に忙しい様子。
また、うれしい事が重なった様子。
74. 煩悩の犬は追えども去らず ( ぼんのうのいぬはおえどもさらず )
欲望が人につきまとって離れないのを、犬が人にまといつくのにたとえた語。
75. 凡夫盛んに神祟りなし ( ぼんぷさかんにかみたたりなし )
つまらぬ者でも勢いが強い時には神や仏の力でもどうすることもできない。
76. 本末を転倒する ( ほんまつをてんとうする )
はじめと終わりが行き違っていること。
77. 奔命 ( ほんめい )
忙しくたち働くこと。もと、主君の命令によって走りまわる、という意味。
78. 盆を戴いて天を望む ( ぼんをいただいててんをのぞむ )
盆を頭にのせれば天を見ることができず、天を望もうとすれば盆がのせられないことから、
いい事を二つ兼ねのぞむことはできないというたとえ。